那覇と知念に「電子戦」専門部隊 防衛省が新設へ 概算要求に経費計上


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防衛省

 【東京】防衛省は30日に決定した2021年度予算概算要求で、電磁波を使って相手のレーダーや通信を妨害し無力化する「電子戦」の専門部隊を新設する関連経費を計上した。沖縄県内では、22年3月までに陸上自衛隊の那覇駐屯地と知念分屯地(南城市)に部隊を配置する。電子戦分野の能力を向上させている中国をにらみ、南西地域で新たな防衛力整備の動きが具体化している。

 電子戦部隊の配備が新たに予定されるのは陸自の朝霞駐屯地(東京都)、留萌駐屯地(北海道)、相浦駐屯地(長崎県)、奄美駐屯地(鹿児島県)、那覇、知念の計6カ所。朝霞に創設される「電子作戦隊」(仮称)が本部機能を担い、そのほかが実行部隊となる。

陸上自衛隊の車載型ネットワーク電子戦システム「NEWS」=2019年8月25日、静岡県の東富士演習場

 電磁波は宇宙やサイバーと並び、防衛省・自衛隊が強化を進める新領域の一つ。防衛省は来春、80人規模の電子戦の専門部隊を陸自健軍駐屯地(熊本県)に発足させる。那覇などへの配備はこれに続くもので、部隊は侵攻勢力の電波の周波数を分析し、通信機器やミサイル誘導用電波を妨げたり、自衛隊の通信を防護したりする役割を担う。

 こうした機能を備えた最新の車載型ネットワーク電子戦システム(NEWS)の導入を進めるため、21年度概算要求には装備品取得費など109億円を計上した。【琉球新報電子版】