圧政に抗した瀬長さん伝える不屈館、クラファン目標額までわずか、運営継続に奮闘


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新グッズのクリアファイルを手に支援を呼び掛ける内村千尋館長(右)ら=9月30日、那覇市若狭の不屈館

 新型コロナウイルスの影響で来館者が激減した「不屈館」(那覇市若狭)が始めたクラウドファンディングが終了まで2週間余りとなり、目標額の800万円まであとわずかに迫っている。県内外から800人近い支援があり、スタッフも奮闘。グッズの開発や通信販売、SNSでの情報発信にも力を入れ、運営継続に知恵を絞っている。

 同館は2013年に開館し、米統治下で圧政と闘った瀬長亀次郎さんが残した資料などを展示している。行政からの援助は受けず、会費やグッズの売り上げなどで運営しているが、コロナ禍が直撃。団体客の予約が全てキャンセルとなり、5月の入館者は前年の5%まで激減した。家賃や人件費などで月100万円の維持費がかかる。「このままでは閉館せざるを得ない」(内村千尋館長)との状況の中、支援をインターネットで呼び掛けるクラウドファンディングを6月22日に開始。1カ月で目標の500万円を突破し、新たな目標を800万円に設定して今月19日まで続けている。

 合わせて、新素材のクリアファイルやTシャツなど新商品を開発し、9月からは通信販売も始めた。ツイッターやインスタグラムなどSNSを活用し、情報発信にも力を入れている。

 クラウドファンディングの支援者は8割が県外在住で、「コロナが落ち着いたら行きます」「末永い存続を願っています」などのメッセージが寄せられている。内村館長は「『また頑張ろう』と力をもらった」。県民からも直接、寄付が寄せられており、運営の支えになっているという。内村館長は「民衆に呼び掛けて守ってもらおうと、クラウドファンディングを始めた。お金もうれしいが、皆さんの気持ちがうれしい。不屈館は民衆の闘いの歴史が学べる重要な場所。ぜひ支えてほしい」と話した。

 1日午後2時現在、781人が支援し、788万円余りが集まっている。クラウドファンディングサイト「A―port」で「不屈館」と検索すれば掲載ページが見られる。(真崎裕史通信員)