コロナ対策の沖縄県職員に残業代未払い 予算不足や未申請で4月以降


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 4月からの新型コロナウイルスの感染拡大により、対策を担う県職員の長時間勤務(残業)が常態化し、残業手当予算が不足して4月以降、一部職員に未払いが生じていることが22日に分かった。背景には業務過多や他部署から人員を補っているため、残業予算を執行する所管課が実態を把握しにくい状況がある。県保健医療部保健総務課は残業手当を適正に支給するため、実態調査を進めている。

 予算は昨年度までの実績に基づき配分されており、4月からの新型コロナの感染拡大に伴う業務は考慮されていない。本年度の県全体の残業手当予算は約31億円。そのうち県保健医療部の予算は1億2574万円で、新型コロナ対策の中核を担う総括情報部を所管する地域保健課には1493万円が計上されている。

 総括情報部は濃厚接触者の調査や陽性者の医療機関への手配などを担う。常時23人のほか、軽症者向けの宿泊療養施設への配置に各部の持ち回りで連日6人を充てている。保健医療総務課は8月下旬、財政課に要請し、10~12月に配分予定の予算のうち、約500万円を前倒しして配分してもらった。宿泊療養施設で働く職員の4、5月の残業未払いに充てる。10月初めには同部内の他課の予算約500~600万円を流用した。短期間で動員された職員も多い上、残業申請の未提出もあり、実態把握調査は難航している。残業の実態を確認できた職員から支払っていく予定だ。

 保健医療総務課の諸見里真課長は今後も感染拡大の可能性があり、「前倒しや他課からの流用では限界がある」とした。年度内に未払いを解消するため、今後、補正予算での対応を検討する意向だ。

 県職連合の前泊正人書記長は感染の収束が見えず、「長時間労働や過重労働がいつまで続くか分からない。残業手当を支払うのは法律で定められている」と指摘。夏休みや年休未消化の職員も多く、組合は今後、残業手当の支払いや労働条件の改善を求めていく。