宮古陸自弾薬庫建設地の一部、業者の所有権認めず 那覇地裁平良支部 建設工事に影響も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【宮古島】宮古島市城辺保良での陸上自衛隊弾薬庫建設を巡り、防衛省から依頼を受け建設地の土地取得を進める市内の採石業者が起こした土地所有権確認請求訴訟で、那覇地裁平良支部は5日、建設地内の3カ所の土地のうち1カ所について請求を棄却し、所有権を認めなかった。被告の住民は弾薬庫建設に反対しており、工事の進捗(しんちょく)に影響が出る可能性がある。2カ所については時効取得による所有権を認めた。住民側は2カ所について控訴する。

 建設地の大部分の土地は原告の採石業者が所有している。争った3カ所の土地は業者の名義ではないが、20年間にわたり、鉱山として利用してきたとして民法上の時効取得を主張。地権者の子孫に当たる住民らを相手に訴訟を起こした。民法では他人の土地でも20年間自分の土地として占有したと認められれば所有権を有するとされる。

 原告の請求を棄却した土地について丸山聡司裁判官は判決理由で、占有があったことは認めた上で、業者の鉱山施業案に「契約地」とある点を挙げ、自己に所有権があると認識した土地を指すとは考え難いとして「取得時効の要件を満たさない」とした。

 判決を受けて被告の住民らを支援するミサイル・弾薬庫反対住民の会(下地博盛代表)は市城辺保良で報告会を開いた。住民側代理人の喜多自然弁護士は「住民の粘り勝ちだ」と強調。「ただ建設予定地全体の一部で、これをもって工事を止めるのはハードルが高い」とした上で「所有者が誰かという大前提があやふやなまま建設を進めている問題点は明らかだ。強引さを示す一つの材料だ」と話した。下地代表は「小さな一歩だが前進だ。判決が確定したわけではなく、この先どう転ぶか分からない。慎重に進めたい」と語った。

 沖縄防衛局は判決や弾薬庫建設への影響について本紙取材に「本日中の回答は難しい」とした。

報告会で判決について説明する住民側代理人の喜多自然弁護士(左)と赤嶺朝子弁護士=5日午後、宮古島市城辺保良