米軍関係の事件2週間で13件 沖縄県が抗議「異常事態だ」 深夜外出規制の違反も


この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬
外務省沖縄事務所の橋本尚文沖縄担当大使(左)と沖縄防衛局の田中利則局長(中央)に抗議文を手渡す謝花喜一郎副知事=10日午後3時30分ごろ、那覇市の県庁

 米軍関係者による事件が相次いでいることを受け、謝花喜一郎副知事は橋本尚文外務省沖縄担当大使と田中利則沖縄防衛局長を県庁に呼び出し「異常事態だ」と抗議した。10月25日から11月8日までに、うるま市での強盗など米軍関係者が逮捕される事件が13件発生した。謝花副知事は、深夜の外出や飲酒を規制する「リバティー制度」に違反またはその疑いのある例が8件含まれていると指摘した。

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 県によると、リバティー制度は、階級による差異があるものの、原則として午前0時から午前5時までの飲酒、午前1時以降の外出は原則禁じている。また、新型コロナウイルス感染の拡大防止策として海兵隊は基本的に那覇市内での行動を禁じているが、中部地域の基地に所属する兵士が那覇市で逮捕される事件も3件あり、県はコロナ対策のルールに違反しているとみている。

 謝花副知事は「米軍関係者による事件は、日常的に米軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に大きな不安を与える。強い憤りを禁じ得ない」と批判した。米側のルール違反が目立つとし「これからクリスマスシーズン、年末になると、こうした事件が頻発するのではないかと懸念している」と語った。

 その上で①綱紀粛正と教育の徹底など実効性のある再発防止策を早急に講じ、内容を県民に公表すること②被害者への謝罪と適切な補償③米軍も交えた「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム(CWT)」の早期開催―を要請した。

 橋本大使と田中局長はすでに米側に再発防止を申し入れていると説明した。CWTは2017年4月以降開催されていないが、橋本大使は「次回の開催に向けて調整を続けている」と述べるにとどめた。田中局長は9日、局の部長級職員が海兵隊基地を訪れ事件の再発防止について意見を交換したと明かした。

 県は米海兵隊と在沖米総領事のトップも県庁に呼び出して抗議したい考えで、日程を調整している。ただ、米軍や総領事はこれまでも県庁の呼び出しを断っており、応じる可能性は低い。