【独自】教員わいせつ、中3女子が1年後に命絶つ 卒業後も不安訴え


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仏壇に供えられた誕生日を祝うケーキ=2019年5月、那覇市の自宅(提供)

 沖縄県那覇市立の中学校内で、部活動の副顧問だった40代男性教諭からキスをされるなどのわいせつ行為を受けた当時3年の女子生徒が、高校進学後の2014年12月29日に自ら命を絶っていたことが分かった。16歳だった。母親が22日までに琉球新報の取材に答えた。生徒はわいせつ行為を受けた後、「適応障害」「急性ストレス反応」との診断を受けた。亡くなる約1カ月前、主治医に「事件を思い出すことがあり、不安な気持ちになる」と訴えていた。主治医は自殺の恐れがあるとして母親に注意を促していた。

 那覇市教育委員会や中学校が作成した報告書によると、13年11月14日、加害教諭が高校入試対策として開いていた「朝の勉強会」に1人で来た生徒に、突然キスをした。生徒がトイレに逃げ込み泣きじゃくっているのを友人が発見し、事情を聞いた。その後の全体朝会中、加害教諭は生徒と教室で話し合いを持った。加害教諭が話している間、生徒は掃除用具入れの中に入っていたという。

 学校側は友人らの話で同日中にわいせつ行為を把握した。翌日、校長らが生徒の自宅を訪れ謝罪した。学校の事情聴取で、加害教諭が休日に生徒を呼び出して手をつないだり、抱きついたりしていたことも発覚した。下着を触る行為もあった。

 加害教諭は14年3月に懲戒免職処分を受け、退職した。性犯罪が親告罪だった当時、告訴されなかったため刑事責任を問われていない。現在は民間企業に勤めている。

 母親によると、生徒は中学を卒業し、高校に入学したが「先生(加害教諭)のことを思い出すと苦しくなる」「別の中学校から来た生徒が(事件のことを)知っている」などと話していた。会員制交流サイト(SNS)のプロフィル欄に「死にたい」と書いていたという。あざになるまで手の甲をかきむしるなどの行為もあった。

 母親によると生徒の死後、加害教諭から「教え子の死を悔やむ」という趣旨の手紙が届いたという。加害教員は琉球新報の対面での取材を断り、電話で「今の気持ちは手紙を送った当時のままだ」と答えた。

 市教委は事故後の対応について「学校への指導は適正になされていた」との考えを、母親に示しているという。


 さまざまな団体や組織が子どもや若者らの悩み相談に電話やインターネットで応じている。主な窓口は次の通り。

▽チャイルドライン(0120)997777

▽子どもの人権110番(0120)007110

▽24時間子供SOSダイヤル(0120)078310

▽日本いのちの電話連盟(0570)783556

▽沖縄いのちの電話098(888)4343

▽NPO法人BONDプロジェクト070(6648)8318

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