辺野古完成「可能性低そう」 米シンクタンク報告書 費用・工期の問題指摘


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新基地建設に向けた埋め立て工事の様子=10月30日、名護市辺野古

 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が11月に出した報告書で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について「完成する可能性が低そうだ」と新基地建設を困難視していることが分かった。背景として工期延長や工費増大を挙げている。識者は「米国からも新基地建設は実現可能性がかなり低いと思われているということだ」と指摘した。

 報告書は辺野古新基地について「困難を抱え続けている。完成期日は2030年まで延び、費用が急騰している」と述べている。米軍再編の動きについても「地域政治や地域の緊張、大規模な建設事業に伴う問題がある現実世界で(再編を)実行することは困難だ」と論じた。

 報告書は、CSIS国際安全保障プログラムの上級顧問マーク・カンチアン氏が執筆した。全体としては、米海兵隊の戦略見直しと予算の関連について論じている。海兵隊トップのバーガー総司令官が新たな指針として、大国間の紛争に対応できるように軍の構造を変えようとしていることを批判的に紹介し、あらゆる危機に対応できる能力が失われるという懸念を示している。

 沖縄国際大の野添文彬准教授は「執筆したのは海兵隊に関する有名な論客の一人だ。米国からも日本政府の新基地建設は実現可能性がかなり低いと思われているということだ。日米同盟の抑止力が懸かっているかのように言う日本政府の主張とは、かけ離れている」と語った。

 また、普天間飛行場の危険性を一日も早く除去するために新基地を建設するという論理が成り立っていないという県の主張とも符合すると説明した。