デカ盛りの「波止場食堂」が閉店 最終日に惜しむ客らガッツリ完食 国頭・辺土名


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12月31日で閉店した波止場食堂=国頭村辺土名

 【国頭】開業45年の波止場食堂(国頭村辺土名)が12月31日、多くの人に惜しまれつつ45年の歴史に幕を閉じた。味もさることながら、食器から今にもはみ出しそうな愛情たっぷりの“デカ盛り料理”で、地域や観光客に長く愛され、親しまれてきた。

 店主の岸本照子さん(68)は1975年10月、23歳のころに13坪(約43平方メートル)の食堂を開業した。隣接する村道辺土名バイパス線は、開店後に安波ダム資材運搬道路として開設され、その後村道となった。岸本さんは、食堂付近の辺土名漁港や国頭漁協など、周囲の風景の移り変わりを肌で感じながら、見守り続けてきた。

 店内の壁に貼られた「沖縄そば」「ポーク玉子」「野菜炒め」「ゴーヤーチャンプルー」「とんかつ」「肉そば」などの14種類のメニューは開店当時と変わらないという。

 お客さんのためにも70歳まで頑張るつもりでいたが、長年の立ち仕事の疲労から足の痛みがひどくなった。またコロナ禍の影響も重なり、やむなく閉店を決意したという。

最後の日に来店した同級生の金城功郎さん(左)家族と、店主の岸本照子さん(右)

 照子さんは「今はゆっくりしたい。地域の人々には長年利用してもらいとても感謝している。多くの観光客が訪れ、記念写真を撮るようにもなった。とてもありがたかった」と感謝した。

 知人の情報で閉店を知った45歳の地元の女性は、夫と一緒に来店しカツ丼とオムライスを注文。その量にあらためてびっくりし、夫は頑張って完食、女性は持ち帰ったという。閉店を知った観光客も、写真を撮りつつ最後の料理に舌鼓を打っていた。

 最後の日となった31日には、同級生の金城功郎さん=国頭村浜=は娘と婿、孫2人の5人で来店して照子さんを激励した。金城さんは、29日にも同級生の外間元定さん=同村半地=と来店して、懐かしい話に花を咲かせたという。
 (新城高仁通信員)