米軍機の慶良間低空飛行 防衛局長、把握せず「初めて承知」 県議会軍特委が中止訴え


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田中利則沖縄防衛局長(左端)に抗議声明を手渡す県議会米軍基地関係特別委員会の照屋守之委員長(右端)=20日、嘉手納町の防衛局

 慶良間諸島周辺での米軍機の低空飛行訓練について、田中利則沖縄防衛局長は今回の訓練があるまで米軍が慶良間諸島周辺で訓練していることを把握していなかったことが20日、分かった。同日、嘉手納町の防衛局を訪れた県議会米軍基地関係特別委員会の照屋守之委員長と照屋大河副委員長に、明らかにした。

 照屋委員長らは要請に先立ち委員会で可決した声明文を手渡すため防衛局を訪れた。「地域住民に恐怖を与えており、万一墜落でもすれば大惨事につながりかねず断じて容認できない」と訴えた。住宅地域上空での飛行訓練を直ちに中止することや、日米地位協定の抜本的な改定を求めた。

 田中防衛局長は、訓練飛行を認める政府の従来の説明を繰り返しつつ「こうした訓練について慶良間諸島で実施されていることは初めて承知したところだ。周辺住民の不安や懸念を引き起こすことは非常によろしくないと考えている。米側にも明確に伝えている」と語った。

 照屋副委員長は「訓練の内容も場所も把握できていない状況は、住民の安全をないがしろにしているということだ」と反発した。

 一方、外務省沖縄事務所では橋本尚文沖縄担当大使が声明文を受け取った。日米地位協定について照屋委員長が「運用改善と言うが、それで状況が変わらないなら改定を求めるしかない」と指摘した。