沖縄戦遺骨含む土砂で意見書 自公が「南部」「辺野古」削除案 県議会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
本島南部からの土砂採取の計画断念を政府に求めるよう訴える具志堅隆松氏=9日、県議会第7委員会室

 名護市辺野古の新基地建設を巡る本島南部からの土砂採取問題で、県議会土木環境委員会(瑞慶覧功委員長)は9日、土砂を埋め立てに使わないよう政府に求める意見書案について審議した。戦没者の遺骨混入の可能性があるとして南部の沖縄戦跡国定公園から採取した土砂を新基地建設に使用しないよう求める案を、瑞慶覧委員長が提示した。これに対し、自民・公明は同案から「南部」「辺野古」の文言を削除するなどした修正案を示した。

 意見書の委員会採決は12日に持ち越されたが、与党は委員長案を支持しており、与野党が目指していた全会一致での意見書可決は不透明な情勢となった。

 自公修正案は採取場所を問わず、遺骨を含んだ土砂製品を全ての埋め立て事業に使わないよう求めている。委員会で自民委員は「(戦跡国定公園内では)既存業者も稼働している」「(辺野古基地建設以外でも)遺骨が入った土砂を埋め立てに使ってはいけない」などとして、「南部」「辺野古」の文言を除いた理由を説明した。

 与党委員は、自公が沖縄防衛局に「(辺野古基地建設で)本島南部から遺骨混入の土砂が使われることは人道上許されない」と申し入れているとして、修正案の内容を疑問視した。

 委員会では沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松氏の参考人招致も行われた。8日の参考人招致で、採掘する琉球石灰岩への遺骨混入を否定した採掘業者の主張に「琉球石灰岩の特質からすると当てはまらない」と反論した。一方で「我々が対峙(たいじ)すべきは個々の業者ではなく、国だ」と強調した。