生徒を追い詰めた「最後の引き金」 部活顧問とのやりとり明らかに 高2自殺


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 16日に開示された詳細報告書の完全版には、高2生徒が自ら命を絶つ「最後の引き金」とされたエピソードの詳細など、公表済みの概要版にはない記載もあった。日常的に顧問のストレスにさらされた生徒の心理状態を、水があふれそうなコップに擬(なぞら)えた分析も記し、顧問との最後のやりとりが「『コップの水』をあふれさせるのに十分なものだった」と指摘した。

 「最後の引き金」は生徒が自殺を図る前日の出来事。外部の指導を受けるため、部活動の練習を早めに切り上げようとした生徒を顧問が叱責(しっせき)した。

 報告書によると、午後7時からの練習開始に間に合わせるため、同5時半に部活を切り上げようとした生徒に対し、顧問は「7時からなのに今から行くの?」と聞いた。生徒が「家に帰ってご飯食べたり、渋滞するかもしれないので早めに」と答えると、顧問は「普通の人は車の中でおにぎり食べたりしながら行くんだよ。他の子は練習しているのに…だったら終わらせればいい。責任感はないの?キャプテンやめたほうがいいよ」と突き放した。

 第三者調査委員会の聞き取りに、顧問はやりとりの途中で興奮したことを認め、最終的には「早く行け」という感覚になったと説明した。外部指導者の下へ通うのは顧問の指示によるものだったのに、それをとがめられ、生徒は何が正しいのか分からなくなり、行き場を失ったように感じたという。

 遺族によると、実際には報告書の記載より厳しい口調で叱責していたという。

 報告書では「生徒は少しずつ『コップの水』(顧問からのストレス)をためざるを得ない状況に置かれており、前日のエピソードは日常的なストレスで限界に近かった生徒の心の中の『コップの水』をあふれさせるのに十分なものだったと考えられる」と記した。


さまざまな団体や組織が子どもや若者らの悩み相談に電話などで応じている。主な窓口は次の通り。

▽チャイルドライン(0120)997777
▽子どもの人権110番(0120)007110
▽24時間子供SOSダイヤル(0120)078310
▽日本いのちの電話連盟(0570)783556
▽沖縄いのちの電話 098(888)4343
▽NPO法人BONDプロジェクト 070(6648)8318

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