先輩と共に目指すバスケ日本一 統率力磨くため国士舘大へ 渡久地政睦<決意の春>


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
大学で司令塔としての資質向上を誓う渡久地政睦=3月、豊見城高校

 昨年末の全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)1回戦で、豊見城のエースとして大会の全試合を通じて最多となる44得点を挙げた渡久地政睦(まさちか)(18)=名護中出。大学バスケのトップリーグである関東1部の学校からも誘いを受けたが、選んだ進学先は同2部の国士舘大。理由は明確だ。Bリーグ1部の1試合最多アシスト記録を持ち、昨年から同校でアシスタントコーチを務める県出身の松島良豪氏の下で「自分に足りないところを補える」と、司令塔としての資質を磨く決意だ。

 1、2年時の全国総体とウインターカップは初戦で敗退し、自分の代で豊見城初の全国での勝利を目指していたが、新人、小橋川杯とも興南に負けて2位。全国出場への視界が曇り始めていた。昨春にはコロナ禍が到来し、休校で部活も停止に。この空白の期間が、渡久地を強くする。

 175センチと選手としては小柄。「いつかはやらないといけないと思っていた」と筋力と体幹を一から鍛え直した。持ち味の鋭いドライブで「当たり負けしなくなった」。再び興南と対戦し、延長までもつれた県総体決勝では40点を挙げてチームを頂点に導いた。

 得点力に磨きをかけた一方、「周りを生かすという部分でまだまだ足りない」とガードとしての試合コントロールに課題を感じていた。そんな時、抜群の勝負強さを評価した松島氏から勧誘の電話が入る。「自分にないものを君は持っていて、逆に君に足りないものを自分は持っている。一緒に日本一を目指そう」。Bリーグ1部のレバンガ北海道で19―20シーズンまで現役ガードとして活躍した県勢の先輩の言葉は、胸に深く刺さった。

 「松島さんは試合コントロールやアシストにたけている。そこを培っていきたい」。司令塔として国士舘大を1部に引き上げ、インカレ王者に。その過程が夢であるBリーガー、さらに日本代表まで地続きになっていると信じる。大志を胸に、新たな舞台へ飛び出す。
 (長嶺真輝)