日系社会の軌跡を映画に 「伊芸銀勇氏とペルー移民」を制作 宜野座


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 【宜野座】宜野座村文化のまちづくり事業実行委員会はこのほど、同村からペルーへ移住し日系社会の発展に尽くした伊芸銀勇さん(1908―2005年)の足跡をたどるドキュメンタリー「伊芸銀勇氏とペルー移民」を制作した。動画共有サイト「ユーチューブ」で公開している。プロデューサーを務めた村文化センターがらまんホールの小越友也さんは「伊芸さんの実像を知ってほしい」と視聴を呼び掛けている。

日本人学校の教員として多くの教え子に慕われた若かりし日の伊芸銀勇さん(前列左から5人目)(宜野座村文化のまちづくり事業実行委員会提供)

 ドキュメンタリーは、伊芸さんの半生を描いた舞台「伊芸銀勇物語~世界に虹の橋をかけて」(新井章仁脚本・演出、2019年公開)の制作に向けて取り組んだ2週間のペルー取材の様子をまとめた。

 伊芸さんは34年、26歳で日本人学校の教員としてペルーに移住した。作品では教育者や農業者として多くの日系人に慕われた伊芸さんの素顔を、息子や教え子らの証言で紹介。太平洋戦争に至る過程で起きた排日暴動のほか、日系人が戦後、コミュニティーを形成し病院や福祉施設などを運営して、ペルー社会に貢献した歴史をたどっている。

 1969年に伊芸さんが、移民のドキュメント映画「ハワイに生きる」の南米上映会開催に奔走した様子も紹介した。小越さんは「日系社会の発展やウチナーンチュのアイデンティティー確立に大きな功績を残した伊芸さんの実像を、証言や本人の肉声を通して知ってほしい」と語った。

 作品はユーチューブで「伊芸銀勇氏とペルー移民」と検索すると視聴できる。約100分の動画を8本に分けて公開している。問い合わせは村文化センターがらまんホール(電話)098(983)2613。