小菊栽培をIoTで管理 電球切れ通知で見回り不要に KDDIが開発、糸満市が導入へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県糸満市はスマート農業機器導入事業として、KDDIウェブコミュニケーションズ(東京都)が開発した農作業支援通知システム「てるちゃん」を、市内の小菊農家向けに採用した。農場内に配置したセンサーで電照菊用の電球の消灯などを感知し、スマートフォンなどに通知する。市内60戸分の購入費180万円を2021年度予算で計上している。

電球の消灯などを感知するセンサー(左下)と使用状況を説明する大城太志さん=19日、糸満市

 「てるちゃん」はセンサーとルーター(親機)を畑などに配置し、温度や湿度も監視できるIoT(モノのインターネット)のシステム。18年から糸満市のマンゴーや小菊農家で実証実験を重ね、このほど製品化に至った。県内外の農家で導入例があるが、自治体レベルの採用は全国で初めて。

 通知方法はメールやショートメールのほか、「ガラケー」(従来型携帯)での使用も想定して、自動音声による電話通知も利用できる。市は近く、農家向けの説明会を開く予定で、担当者は「導入時の設定などについてフォローアップしたい」と語る。

 小菊は日照時間が短くなると花芽を付ける性質があるため、農家は電照で開花時期や成長などを調整している。電球切れがないかなど、夜間帯の見回りが負担となっていた。

 実証段階から参加している小菊農家の大城太志さんは、それまで3~4日おきに実施していたブレーカーの見回りが、「てるちゃん」の導入で不要になった。消灯が検知されると翌朝通知され、その日のうちに電気系統の修理などの対応ができる。大城さんは「睡眠時間の確保もあるが、安心感も得られるようになった。現場からいろいろなアイデアが出ており、IOTでできることが広がればいい」と話した。

 KDDI―の担当者は「換気ファンの稼働や、水田水位などの確認への利用も想定される」と活用の広がりに期待した。