脳卒中後遺症から社会復帰を目指すシェアハウスを作りたい!建設費募る


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脳卒中後の社会復帰へシェアハウス構想を語る下地洋也さん(右)と、一緒に活動する当事者の栄野川明さん=21日、県庁記者クラブ

 脳卒中の後遺症がある人たちが自立して暮らし、社会復帰を目指すシェアハウスを作ろうと、自身も脳出血のため左半身にまひがある下地洋也さん(35)=宜野湾市=が、資金を募るクラウドファンディングを始めた。一時は自暴自棄となったが、仲間と交流し、できることを実現していく中、元気を取り戻した。「病気前と同じくらい稼ぎたい。自分一人ではなく、同じ境遇の人たちと一緒に」と意気込む。

 下地さんは2019年5月、脳出血で倒れた。血圧が高かったが、仕事は忙しく、「倒れるなら50代だろう」と若さを過信していた。

 バンドではドラマーだった下地さんを励まそうと、病院に見舞った友人が音楽をかけた。いつもなら曲に合わせて自然にリズムを刻む体が動かない。「やりたいこともできない」と号泣することもあった。

 そんな中、同じ症状と闘う患者から「だんだん良くなるから」と声を掛けられた。患者同士で、夜な夜なトランプでも盛り上がった。後から同じ症状の患者が入院すると、“先輩”がしたように声を掛けると、「ありがとう」と感謝された。

 リハビリに取り組み、日常生活が送れるまでに回復した。勤務先からは体調に合わせて働ける代理店の運営を任され、脳卒中後の社会復帰を支援する会社「HPY企画」も立ち上げた。「いろんな人に応援され、毎日が楽しい」と笑顔を見せる。

 ただ、後遺症のため退院後の行き場がない人も多い。社会復帰を目指すシェアハウスを思い立った。本島南部に300平方メートル余りの土地を購入し、バリアフリーの内装工事が簡単で、安価なコンテナハウスを建てる。定員は5人。専門家と一緒に日常生活のリハビリや就労を支援する。カフェを併設して入所者の仕事をつくり、収益はシェアハウスの運営費に充てる。

 クラウドファンディングの目標額は3500万円で、6月3日まで集める。詳細は「HPY企画」のホームページで。