キングス、沖縄アリーナで初試合 「新時代」ふさわしい熱戦 名古屋に85-87 第50戦


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琉球―名古屋D 第4Q、素早い動きでディフェンスをかわしシュートを決めるキングスの並里成(中央)=21日、沖縄市の沖縄アリーナ(喜瀬守昭撮影)

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスは21日、沖縄アリーナで行う初のホーム戦として、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(西地区4位)と今季第50戦を行い、85―87で惜敗した。通算成績は38勝12敗。連勝は2で止まった。好守の中核の一人であるドウェイン・エバンスは左足部のコンディション不良のため欠場した。次戦は28日、午後6時5分から沖縄アリーナで千葉ジェッツと対戦する。

 キングス3点ビハインド。試合時間は残り10秒を切った。リーグ随一のクラッチシューター、岸本隆一がスリーポイントライン外側の左45度でボールを受ける。終盤の重要局面でチャンスを逃さない選手を指す形容通り「ああいう場面で仕事をしたいと常々思っている」という岸本は、ジャック・クーリーのスクリーンを使いながら、何度もフェイクを仕掛けて隙をうかがった。

 3点弾を放ったのはラインから1メートルほど離れた位置。きれいな弧を描いてリングを射抜くと、感染症対策で歓声を上げられない観客席から地鳴りのようなうなり声が漏れた。岸本が振り返る。「アリーナの感情がシュートに乗り移った」

 沖縄アリーナ初戦を湧かせた沖縄出身選手がもう一人。並里成だ。前半ほぼ沈黙していたが、「勝ってみんなにいい気持ちになってほしかった」と第4Qで極度の集中状態に入った。

 「自分にボールを回してくれ」。残り約6分でコートに入り、仲間に伝える。ミドルシュートやドライブを次々と決め、接戦の立役者となった。結果は惜敗となったが、「地元で大きな舞台でプレーする夢がかなった」と頬を緩めた。

 チームは今季でプロリーグ参入14年目。多くの栄光を積み上げてきたキングスにとって「新時代」(並里)の幕開けにふさわしい熱戦となった。
 (長嶺真輝)

B1西地区優勝を成し遂げ、ブースターから祝福される琉球ゴールデンキングスの選手ら

▽Bリーグ1部(沖縄アリーナ、3521人)

名古屋D 31勝23敗
87―85(23―27,18―16,24―19,22―23)
キングス 38勝12敗

 【評】チーム最大の得点源であるドウェイン・エバンスを欠いたキングスだったが、高い得点力を誇る名古屋相手に激しい守備を維持し、シーソーゲームを続けた。残り6秒の土壇場に岸本隆一の3点弾で追い付いたが、ラスト1秒でミドルシュートを決められ、敗北した。

◆夢のような空間

 藤田弘輝HC(キングス)の話 チームの設立以来、関わってきた多くの人の努力で今日という日を迎えられた。本当に夢のような空間で、楽しかった。選手たちは本当にハードワークを心掛けた。残り6試合。今日は悔しい結果になったけど、次戦以降も自分たちのディフェンスに取り組みたい。

◆守備で我慢、勝因

 梶山信吾HC(名古屋D)の話 素晴らしいアリーナで試合ができうれしいし、選手たちは本当に頑張ってくれた。嫌なやられ方をすることはあったけど、我慢して守備の強度が落ちなかったことが勝因だと思う。