スランプで自分を見つめ直す 棒高跳びの県記録更新へ 名嘉眞メグ<決意の春>


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3メートル60の県記録超えを目指す棒高跳びの名嘉眞メグ=3月7日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 昨年の高校最後の県総体では試技中の晴れ晴れとした表情が印象的だった女子棒高跳びの名嘉眞メグ(18)=糸満高出―沖縄大。競技を始めてから一貫して楽しみながら挑むことを大切にしてきたが、ことし3月の春季記録会では様子が違っていた。コロナ禍で陥ったスランプと向き合い「競技を楽しめること自体に多くの支えがあることをしみじみと実感した」。新たな気持ちで跳躍を続けている。

 黄金森ジュニアで小学5年生から陸上にのめり込んだ。走り高跳びが専門だったが、19年4月の県大会で左足首を痛めたことを機にポールジャンプに転向。同年9月の新人大会で3メートル15の大会記録を出すなど頭角を現した。

 しかし昨年の全国総体はコロナでなくなり、部活動の自粛期間中の練習は1人だけに。県総体に向けてもマット練習ができずポール走が中心になった。できることが限られる中、坂道を走るなど黙々と練習に取り組んだが、練習量は減り、モチベーション維持に苦労した。

 それでも集大成の県総体は大会新の3メートル22で優勝。ただ、コロナ禍前には練習で3メートル40に成功していただけに悔しさも残った。県総体を境にして調子は下がった。大学進学へ向けて練習を続けたが結果は出ず「逃げたくなった」と自己嫌悪から悪循環に陥った。

 そのスランプは自分自身を見つめ直す期間に。保護者や指導者の支えが身に染み「調子が落ちたのはしょうがない。全力を出さないと悩む意味がない」と考えるようになった。沖縄大進学直前の春季記録会は2メートル70センチと満足できる結果ではなかったが、競技後は「終わっちゃったなー」とさわやかな表情だった。

 目標は高校時代から変わらず、16年近く破られていない県記録を超える3メートル60だ。助走スピードから踏み込みの強さまで総合的に力を伸ばし「行けるところまで行きたい」と飛躍を期す。
 (古川峻)