首里劇場、成人映画から名画座に 館長「昭和のにおい感じて」


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
関係者が手書きした映画ポスターを前に「一人でも多く来て」と来場を呼び掛ける首里劇場の金城政則館長=21日、那覇市の首里劇場

 沖縄現役最古の劇場「首里劇場」(金城政則館長)が5月1日から、昭和の名作を中心に上映する空間として再出発する。最初の上映作は吉永小百合の「あゝひめゆりの塔」(舛田利雄監督、1968年)。金城館長は「昭和のにおいがする劇場で昭和の映画を見て、昭和の時代を感じてほしい」と、来場を呼び掛けた。

【写真特集】名所・首里劇場 「異空間」の今昔

再開に向けて一部設備の修繕作業が進む首里劇場=21日

 首里劇場は1950年に開館し、芝居や映画上映を通して地域の劇場として親しまれた。70年代からは、客入りのいい成人映画を中心に上映してきた。金城館長は「成人映画はお客さんを呼ぶためにタイトルこそインパクトがあるが、中身はしっかりと人間ドラマが描かれていた」と振り返る。近年は客足が遠のき、1月31日に約50年にわたる成人映画上映に幕を下ろした。

 劇場を名作上映の「名画座」にしたいと考えていた金城館長は、2月から休館して再開の準備を進めてきた。築70年、木造2階建て、約200席の劇場のたたずまいはそのままに、屋根の修繕や現在の基準に沿った消防設備の設置をし、上映日に向けて準備を進める。金城館長は「死ぬ前に夢がかない、うれしい。上映日に人がいなくて悲しくなるかもしれないが、ここは人が来ないのが当たり前の劇場だ。『NO密』な空間を観客も楽しんでほしい」と笑った。

 上映時間は午後2時と午後4時35分。入場料は男性800円、女性・子ども(3歳~中学生)・障がい者は500円。問い合わせは金城館長(電話)080(4187)5061。 (藤村謙吾)