国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際自然保護連合(IUCN)は10日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)を世界遺産に登録するよう勧告を出した。数多くの固有種が息づく独特で多様な琉球弧の自然環境の保全と管理へ、世界的な一歩となる。
7月16~31日に開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式決定されるが、IUCNの勧告のまま認められる公算が大きい。
IUCNの勧告は「登録」のほか「不登録」、追加情報を求める「情報照会」、推薦書の再提出を求める「登録延期」の4段階がある。2018年には、推薦地に米軍北部訓練場の返還地が盛り込まれなかったことから「登録延期」とされた。政府は返還地を追加して推薦書を再提出した。19年は新型コロナウイルス感染症予防のため、ユネスコ世界遺産委員会が延期された。
この間、県内ではさまざまな取り組みが進められた。県は希少野生動植物保護条例を制定した。西表島ではオーバーツーリズム対策として入島人数に上限を設ける。やんばる地域では推薦地への立ち入りに認定ガイド同伴を求めるなどする「持続的観光マスタープラン」を策定。世界自然遺産登録を「スタート」として、地域で自然を保全しつつ持続的に利活用できるよう取り組みを続けている。
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