米軍施設流出のPFOSは指針以下 沖縄県「影響断定できず」 発生2日後調査


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PFOSが流出したとされるパイプに通じる付近の川を調査するうるま市の職員=11日夜

 沖縄県は14日、うるま市昆布の陸軍貯油施設金武湾第3タンクファームでの有機フッ素化合物を含む消火用水流出事故を受け、12日に基地周辺で実施した水質調査結果(速報値)を発表した。

 水路など基地の外5カ所で測定したPFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)の合計値は天願橋で1リットル当たり最大44ナノグラムと、環境省が設定している暫定指針値(50ナノグラム)を下回った。県環境部は「発生から2日以上たっており、今回の調査で影響について断定できない」とした。

 在沖米陸軍は流出量を28・3~2460リットルと推計しているが、実際の量や濃度は把握できていない。米軍が流出を確認したのは10日で、実際の流出はそれ以前だったとみられる。県は11日夜に沖縄防衛局から流出判明の連絡を受け、翌12日午後に調査を実施した。県衛生環境研究所が14日までに分析した。

 県の各調査地点ではPFOS、PFOAの合計値が1リットルあたり2・5~44ナノグラムだった。調査地点は基地につながる排水路や天願橋など3カ所と、対照点として基地排水の影響を受けない2カ所を選んだ。最も数値が高かった天願橋は、年2回実施している水質調査と同程度の値だったという。

 今回の水質調査はいずれも基地の外で実施した。2020年4月の普天間飛行場からの泡消火剤漏出事故で、県は基地内で土壌や水のサンプル採取を実施した。今回の基地内調査の実施について担当者は「現時点で未定だ。米軍からさらなる情報提供を受けたい」と語った。