ゲストはおばあちゃん 孫のラジオ番組で戦争体験伝える


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3世代で戦争について語る番組への思いを語る知念未凡さん(右)と上原茜さん=23日、南城市

 しまくとぅばと日本語、英語で沖縄や社会問題などについて語るネットラジオ番組「iYASASA RADIO(イヤササ レディオ)」。進行役を務める知念未凡(みなみ)さん(29)=与那原町出身、東京在住=と上原茜さん(29)=那覇市=は慰霊の日の23日、知念さんの祖母尚子さん(88)=同町在住=と父克治さん(66)=同町在住=を番組に招き、戦争をテーマにした収録をネットで公開した。未凡さんと上原さんは「体験者が減少していく中、身近な人の話を残していくべきだと思った」と制作理由を語る。

 未凡さんは、祖父が今年2月に亡くなったことをきっかけに、3世代で戦争を語る番組を企画した。「動画など簡単に撮影できるのに、祖父の物語に関するものを何も残していなかったことを後悔していた」と振り返る。

戦争体験を話した知念尚子さん(左)と克治さん=与那原町(未凡さん提供)

 上原さんは「番組は沖縄のアイデンティティーや平和、愛を大切にしている。それら全てが詰まっている慰霊の日に体験者の話を紹介したかった」と説明する。

 尚子さんは1932年に、日本統治下の台湾で生まれた。沖縄戦が近づくと、尚子さんの家族は沖縄に戻った。戦中は与那原町から北部に避難した。金武に行き着くも食料がないことが分かり、与那原に引き返すことを決意した。戻る道中の具志川で米軍の捕虜にされた。その後、収容所などを転々とした。

 尚子さんは番組で、戦争に翻弄(ほんろう)された人生を振り返り、克治さんが当時の状況や時代背景を補足した。未凡さんは「祖母の物語を残せて良かった。誇りに思う」と頬を緩めた。ラジオはネットで動画や音声を配信する「ポッドキャスト」や「スポティファイ」で聞くことができる。2人の活動はインスタグラムで発信している。アカウントは「@iyasasa_radio」
 (友寄開)