沖縄県・各業界 2週間外出自粛要請 効果未知数 打つ手なく ワクチン接種率向上に望み


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 沖縄県と経済界、医療界、市町村の代表が1日、新型コロナウイルスの感染を抑えるため、緊急共同メッセージを発信し、「セルフロックダウン」(玉城デニー知事)として、2週間の徹底的な外出自粛を県民に呼び掛けた。県幹部によると、新規感染者が400人を超えた7月31日の報告を受け、緊急的にメッセージを出すことが決定。従来の県、医療、経済界の枠組みに市町村も加え、県民向けの強いメッセージを打ち出すことで、全県的な人出の抑制につなげたい考えだ。

 一方、「セルフロックダウン」に法的な拘束力はなく、県が厳しい抑制措置を出してきた中で「打つ手がない。手詰まりだ」(経済関係者)との声も漏れる。各界が手を組み、共同発表を呼び掛けたものの、感染者の大幅改善につながるのかは未知数で、各業界に焦燥感が募っている。

 県幹部は日曜に緊急メッセージを出した理由について、「週明けまで待てる状況ではないと判断した」と解説する。7月31日に過去最多の439人の感染者数が判明した後、同日中に市長会や町村会、経済界などに連絡し、緊急的に声明を出すことを決めた。

 関係者によると、経済界や市町村が納得してもらうために、文言を調整して共同での声明発出につながった。この幹部は「県はこれまで法的にできるアッパー(上位)に近い対策を取ってきた中で、経済界は本当に苦しいところをなんとかのんでもらった。『県民向けのメッセージ』とすることで、理解してもらった」と明かした。

 今回のメッセージを出す上で、玉城県政が重視し「切り札」と位置付けるのがワクチン接種の加速化だ。玉城知事は、これまでの記者会見などで「接種支援の取り組みに注力する」としてきたが、共同メッセージでは「感染症対策の切り札のワクチンを積極的に接種してください」と表現を強め、県民に積極的な接種を呼び掛けた。

 7月31日時点で、県内のワクチン接種率は全国平均と比べて6・3ポイント低い27・9%と低調に推移する。一方、政府は接種率に応じて、配分量を減らす対応を取ってきたため、県内市町村は接種率を上げたい意向を持ちつつも、将来のワクチン個数を不安視しながら作業に当たってきた。そのため、接種作業のスピードが上がらないというジレンマを抱えている。

 県は7月末に、政府に対して市町村のワクチン配布の前倒しを求める要望書を提出。ワクチン接種の加速化に向けて、県が全体の方針を示す計画策定も視野に、検討が進んでいる。県幹部は「経済を早く回すためにも、集団免疫の獲得に向けたワクチン接種が鍵となる」と強調し、接種率向上に望みを掛けた。 (池田哲平)