入院患者の6割が感染 うるま市の医療機関クラスター、感染拡大の要因は?


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 うるま市の医療機関で起きた、新型コロナウイルスによる県内最大のクラスター(感染者集団)は、入院患者270人の約6割に当たる166人が感染し、そのうち23人が亡くなった。職員は114人のうち20人が感染したが死者はいない。7月19日に発生した翌日から、県内外の医療機関から医師や看護師が派遣されている。まだ収束しておらず、感染者はさらに増える恐れがあるという。

 同医療機関では入院患者の半数以上が寝たきりの状態で、各大部屋に6人ずつ入院していた。感染拡大の要因は、施設構造のほか、たんの吸引による飛沫(ひまつ)感染や感染力の強いデルタ株の影響もあるという。県の災害派遣精神医療チーム(DPAT)などが対策本部を立ち上げた後も感染は続き、4病棟のうち3病棟の患者が感染した。通院やデイケア利用者の感染はないという。

 感染した患者には家族とのリモート面会や、希望すれば転院を調整している。治療は院内で行っており、人工呼吸器など重症患者に対する治療は行っていないという。医療機関の担当者は「できる限りの治療行為は行っているが、高齢のため、これ以上治療が難しい患者には心臓マッサージや気管挿管しない選択もある」と説明した。

 県によると、県が重症と定義する人工呼吸器を使用した医療行為は行われていないため、亡くなった人も「中等症」に分類されているという。

 同医療機関では治療とクラスター収束に取り組むが、担当者は「まだ収束するとは言えない」と述べた。