沖縄県の疫学・統計学的推論は「不適切」 医師や調査団体が意見書


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沖縄県庁

 県内外の医師や調査団体は10日、新型コロナウイルスに関する県の疫学統計・解析委員会の資料を検証し「疫学・統計学的推論が不適切だ」と指摘する意見書を発表した。一部を除いて委員の氏名や専門が公表されていないことや、位置付けや役割が曖昧になっていることなど、組織体制の問題も指摘した。

 県疫学統計・解析委員会が感染状況に関してまとめた資料は県がウェブサイトで公表している。中部病院の高山義浩医師と県外の有識者で構成しており、県によると委員は6人。高山氏以外の氏名は公表されていない。

 意見書は、資料の内容について「科学的な分析・解釈がされず、データから飛躍した解釈や思いつきにとどまる例が多くを占める。仮説ベースの対応策があたかも科学的であるかのように提案されている」と批判。その上で、「議論の基礎資料となり、県の政策決定に与える影響は大きい。報道の材料にもなり、県民の状況認識にも影響を与える」と指摘した。

 意見書は、群星沖縄臨床研修センターの徳田安春医師と、世界保健機関(WHO)事務局長上級顧問を務めた渋谷健司医師、調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)の河村雅美代表がまとめた。

 県に対し、(1)委員会資料の科学的妥当性について見解を示すこと(2)疫学統計・解析の方法や資料の作成者の専門を開示すること(3)解析結果の適切な公表(4)科学的妥当性と透明性を担保する体制を整えること―を提言している。今後、正式に県と専門家会議などに送る。

意見書が掲載されているIPPのウェブサイトは下記https://ipp.okinawa/からアクセスできる。