9月13日の緊急宣言解除は「困難」 コロナ県専門家会議、夏休み明け学校再開は一致


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沖縄県庁

 沖縄県の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(座長・藤田次郎琉球大学大学院教授)が23日、県庁で開かれ、新規感染者が高止まりしている現状が続けば、9月12日までが期限となっている緊急事態宣言を13日に解除するのは難しいとの意見が上がった。会議後の会見では藤田座長や糸数公医療技監も、減少傾向に転じても、解除できるレベルに達するのは難しいとの見方を示した。一方で、夏休み明けの学校再開は感染対策を取った上で進める方向性で一致した。県は23日、新型コロナウイルスに新たに280人が感染したと発表した。 

 会議では、23日夕方時点の感染状況が示され、県内の重点医療機関では、重症者が31人で、人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を使用する患者は3人、人工呼吸器を使用する患者が28人に上るなど、医療体制のひっ迫状況が説明された。県対策本部で入院調整を行う医療コーディネーターの佐々木秀章委員は、重症者専用病床の確保が難しい現状を訴えた。複数の委員からすでに医療崩壊が始まっているとの見方が示された。

 また、8月1日から22日までに、妊婦の陽性者が125人確認されたほか、救急搬送では、現場滞在時間が30分以上かかる事案が急激に増えていることも報告された。医療従事者が陽性になったり、濃厚接触者になったりして、休業を余儀なくされ今後の医療業務継続に支障が出る懸念も示された。

 委員の張慶哲医師(県立南部医療センター・こども医療センター小児感染症内科)は、保育園に通う幼児と高校生の感染リスクが高いと指摘した。張医師が示した国による感染経路の解析データでは、幼児の保育園での感染が6月は8%だったが、7月は37%に上昇した。高校生は学校内での感染が7月は27%に上ったとし、部活動や昼食時間の問題点を挙げた。

 一方で、委員らは事前にメールなどで議論した内容も踏まえて、夏休み明けの学校再開を進める方向で一致した。藤田座長は小児の重症事例が少ないことを挙げ、糸数医療技監は「デルタ株に注意は必要だが診療体制は確認できている。学校PCR事業などを行いながら、教育の機会を確保したい」と述べた。今後、県教育委員会などと対応を調整するという。

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