「中止含めて見直しを」 辺野古新基地建設に日弁連が意見書


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 【東京】日本弁護士連合会は1日、名護市辺野古の新基地建設に関し、中止を含めて事業を抜本的に見直すことや、米軍普天間飛行場の速やかな撤去、返還を求める意見書を発表した。同様の意見書は2013年以来となる。普天間飛行場の返還問題は、占領地域での私有財産尊重と没収を禁じた「ハーグ陸戦法規に違反」した米軍の基地建設が起因しており、「戦時占領からの権利回復という原点に立ち返るべきだ」と指摘。「基地集中による人権侵害から救済」する必要があると訴えた。

辺野古新基地建設の抜本的な見直しなどを求める意見書について説明する日本弁護士連合会の川上詩朗憲法問題対策本部事務局次長(左から2人目)、十河弘副会長(同3人目)ら=1日、東京都の弁護士会館

 8月20日、全国の弁護士会の代表らでつくる理事会で、全会一致で承認され、30日付で首相と防衛相宛てに提出した。

 意見書は、普天間飛行場の成り立ちや事件事故の歴史、自然環境の保全、地方自治や民意の尊重、大浦湾における軟弱地盤の発覚など、事業を進める上での問題点を列挙した。辺野古新基地建設に伴う埋め立てに反対する人が投票者の72%に上った2019年の県民投票に関し、法的拘束力はないとしつつも「民主的な意思決定の重要な構成部分として尊重すべきだ」とした。

 意見書の取りまとめに携わった日弁連の川上詩朗憲法問題対策本部事務局次長は「(沖縄の日本復帰から)50周年となるのを前に意見書を出せたのはよかった」と話した。

 意見書案自体は1年半前にまとまったというが、安全保障問題については会員内でもさまざまな意見があることから、関連する委員会に意見照会するなどして調整を重ね、理事会での承認となった。

 十河弘日弁連副会長は、沖縄の日本復帰前の1954年から組織内に沖縄小委員会を立ち上げ、調査や提言を重ねてきたことに触れ「沖縄に関するさまざまな意見を言ってきた歴史的な積み重ねを、会員の皆さまにご理解いただけた」と意義を語った。