辺野古生態系消失に「危機感」 新基地中止求め声明 沖縄県と専門家がシンポ


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オンラインで辺野古・大浦湾の価値について議論する登壇者たち=11日

 普天間飛行場の移設予定地となる名護市辺野古・大浦湾の貴重さを知ってもらおうと、沖縄県は11日、オンラインで「辺野古・大浦湾シンポジウム2021」を開催した。県と登壇した専門家らで、日米両政府に新基地建設の中止を求める声明を採択した。声明は「このまま埋め立て工事が進めば、かけがえのないサンゴ礁生態系の豊かさと価値が永久に失われてしまう」と指摘し、県との対話に応じることや生態系への影響を調べて評価することを要求事項に盛り込んだ。

 シンポジウムは日本大学理工学部の鎌尾彰司准教授、日本自然保護協会の安部真理子保護部主任がそれぞれ基調講演し、自然環境や土木技術の専門家らを交えてパネル討議を行った。

 学者らでつくる非政府組織(NGO)が世界的にも重要な海域を認定する「ホープスポット」(希望の海)に、辺野古・大浦湾一帯の海域が選ばれたことや、大浦湾側に広がる軟弱地盤の問題などを議論した。参加者で採択した声明で「辺野古・大浦湾の自然が持つ大きな価値を見直し、次の世代に残していきたい」と呼び掛けた。

 ホープスポット認定に取り組むNGO「ミッション・ブルー」のシルヴィア・アール代表(海洋学者)もメッセージ動画を寄せ、「私たちの生命を守るためにも、重要な海の生態系を守る時だ。皆さんを支えるため、できることは何でもしたい」と語った。

 玉城デニー知事は「人類の財産を永遠に消失させることに強い危機感を持っている。埋め立て工事そのものを中止することだ」と述べた上で、「(シンポジウムの議論で)さらに取り組まなければならないことも多く示唆していただいた」と受け止めた。