【深掘り】オール沖縄に痛手…なぜ金秀Gは自民候補支持に至ったのか


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2018年の県知事選挙で玉城デニー氏が当選確実となり万歳する支持者ら。デニー氏と前列中央に並ぶ金秀グループの呉屋守将会長=2018年9月30日夜、那覇市古島の教育福祉会館

 金秀グループが自民党支持を打ち出す背景には、革新色が強まる「オール沖縄」の現状への不満があったほか、自民党への批判を続けることによって建設業などグループの事業への影響を懸念したとみられる。玉城デニー知事を支える「オール沖縄」にとって、保守・経済界へのウイングの広がりを象徴する顔役であった呉屋守将会長が離反を明確にすることは、次期衆院選の情勢にとどまらない痛手となる。

 経済関係者によると、金秀グループは名護市辺野古の新基地建設を反対したことで防衛省関連工事の受注ができず、他省庁の国直轄工事でも大手ゼネコンとのJV(共同企業体)が組めないなど、政府による「兵糧攻め」があったとの指摘もある。

 呉屋会長は14日、琉球新報の取材に、オール沖縄を巡り「昔といろいろ違ってきた」との見解を示した。2020年9月に「本業回帰」を掲げて玉城デニー知事の後援会長を辞任した際にも、「政党の目先の利益で大事な判断をしている」と批判するなど、政党色が強まり、保守層への求心力が弱まる「オール沖縄」の状況に不満を示していた。

 関係者によると、呉屋氏は数カ月前から自民党本部と直接掛け合っていた。ある那覇市議によると、呉屋氏は元防衛省幹部が来県した際に面会することもあったという。自民党県連に直接連絡はないが、金秀グループが自民党支持の方向で調整しているとの情報は伝わっているという。

 呉屋氏は翁長県政の誕生を実現し、とりわけ保守や企業も巻き込んだ運動を推進してきた。金秀グループが翁長県政誕生前と同様の自民支持へと回帰すれば、オール沖縄陣営にとっては今後の選挙戦略や共闘体制の再考を迫られそうだ。来年秋の県知事選を天王山に重要選挙が続く中で、県内政界の勢力図にも影響が及ぶ可能性がある。(池田哲平)

 


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