汚れる下着、選べないナプキン「一体だれに相談すれば」<語れず知られず 生理の貧困>中


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父子家庭に育ち、父親に生理の相談ができず困った経験を話す新里絵里奈さん=八重瀬町

 両親が離婚し、父親と暮らし始めた小学5年のとき、新里絵里奈さん(44)=八重瀬町=は初潮を迎えた。学校で生理を学んだことはない。父親に聞くこともできず、どんな生理用品を選べばいいのかも分からず、何度も経血が漏れて下着と洋服を汚した。父親がいない隙を見計らって汚れた下着を手洗いしながら、「一体誰に相談すればいいのか」、いら立ちが募った。

 唯一の救いは、父親が商店を営んでいたこと。「必要な物はお店から持って行っていい」と言われていたため、食料品や文具と一緒に生理用品も持ち帰った。購入には困らなかったが、店にはさまざまな種類のナプキンが並ぶ。「『多い日用』って何だろう。いつが多い日なんだ。邪魔にならないよう、一番薄いやつにしよう」。ナプキンとおりものシートの違いも分からない。「汚れているよ」と、こっそり友達が教えてくれたこともあった。

 「生理用品はトイレで替える。トイレの中での出来事だから、誰かに相談するのは恥ずかしいことだと感じていた」。失敗と恥ずかしい思いを何度も繰り返した。中学2年のとき、父親が再婚して母親と姉妹ができた。生理症状に応じたナプキンの種類があること、サニタリーショーツなどの生理用下着があることも初めて知った。

 新里さんは「お店の生理用品を使えたからよかったものの、そうでなければ父親に生理の相談をすることは恥ずかしくてできなかった。生理の貧困という言葉をよく聞くようになったが、その原因は生理に関する知識の貧困だと思う」と話し、性別に関係なく、生理について学ぶことが重要だと語った。

(嘉数陽)

 

【語れず知られず】

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