沖縄に住みたい コロナ機に移住相談が増加 失業、人生見つめ直す人も


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 2020年度からの新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、県外から沖縄県庁に対し、来庁や電話、メールでの移住に関する相談が増加傾向にあることが8日までに、県地域・離島課への取材で分かった。20年度は前年度比44件増の193件の相談があり、データが残る11年度以降、最多だった。21年度は7日時点で89件の相談が寄せられている。県によると、コロナの感染拡大を受け、テレワークが推奨された人や、失業して生き方を見つめ直したという人から「長年の憧れだった沖縄へ移住したい」などと相談が寄せられている。

 県によると、相談件数は18年度は99件、17年度は128件だった。21年度の相談件数は4月は好調だったが、5月に新型コロナ緊急事態宣言が出て以降は鈍化しているという。代わりに市町村の担当者を交えたオンラインのセミナーや座談会への参加枠はすぐに埋まるようになった。

 県移住コーディネーターとして同課に5年間勤務している黒川祥子氏は、コロナ感染拡大の前後で相談の質と内容が変化していると説明する。コロナ前は高齢者のセカンドライフが中心だったが、コロナの流行以降は若い世代の家族が自然豊かな地域に移住したいとの相談が増えている。市町村に直接相談する人も増えているという。

 黒川氏は「昔からテレビドラマの影響などで漠然と移住相談をする人は多かったが、最近は現実的に検討する人が増えて本気度が上がった印象だ」と指摘する。

 県はコロナの感染拡大を受け、これまで年間数件あった対面での相談業務を休止している。代わりに、県が運営する移住支援サイト「おきなわ島ぐらし」の公式ラインアカウントを5日に開設。ラインアカウントには人工知能(AI)を活用した自動対話システム「チャットボット」が搭載されている。

 黒川氏は「せっかく移住希望者がいても、離島や過疎地域では住める住宅が少なくミスマッチになる場合もある。空き家はあるけど帰省時の行事などで使うため、貸家にしない場合もある」と課題も挙げた。

 (梅田正覚)