「当たり前」も誰かにとっては新情報 散歩で見つけたこと 石井恵理菜(中部報道グループ) 


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written by 石井恵里菜(中部報道グループ)

 涼しくなってきたので家の周りを散歩するようになった。嘉手納町に住んでいるため、米軍嘉手納基地のフェンス沿いを歩くことも多い。軍用機のエンジン調整音や離陸音をより近くで感じ、簡単に一周できてしまう町の小ささに、町の8割を占める米軍基地の広さを体感する。

 車に乗るだけでは分からない発見も多い。隠れ家的な飲食店を見つけたり、ずっとパン屋だと思っていた店がトリミングサロンだったりもした。基地関係で取り上げられがちな嘉手納だが、町の魅力がうまく伝わっていないもどかしさがある。

 先日、道の駅かでなの老舗飲食店「ロータリードライブイン」の「ジャンボチーズバーガー」を取材した。私にとって父が仕事帰りに買ってきてくれた思い出の味であり、昔からある当たり前の味。地元の人にとっても、そうかもしれない。バーガーと言ったら道の駅かでなのジャンボチーズバーガーなのだ。後日、店主から「掲載日は大忙しだった」とうれしい知らせが入った。記事を見て南部から買いに来た方もいたという。

 地域の人にとって当たり前のことでも、誰かにとっては新情報かもしれない。新しさだけに目を奪われるのではなく、地域で長年愛される店や文化にしっかり価値を見いだせる人になりたい。また散歩します。

(嘉手納町・読谷村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。