沖縄県内の不信任率は全国の倍 最高裁裁判官の国民審査 夫婦別姓、基地関連訴訟が影響か


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 10月31日の衆院選と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査の結果、対象となった11人全員が信任された。罷免を求める「×」を書いた割合(不信任率)は県内で13・16%~16・83%となり、全国(5・97%~7・85%)の倍以上の高さとなった。夫婦別姓を認めない制度を「合憲」と判断した4裁判官の不信任率が特に高い傾向があった。

 国民審査は有権者が辞めさせたい裁判官の欄に×印を書き、有効投票の過半数となればその裁判官は罷免される。沖縄では不信任率が高く、米軍基地関連の訴訟判決などに対する異議の意思表示との側面が指摘されてきた。今回はそれに加え、全国的な傾向と同様、夫婦別姓を巡る裁判官の判断が県内有権者の投票行動に影響した可能性がある。

 11裁判官のうち、県内で不信任率が最も高かったのは深山卓也氏(16・83%)で、林道晴氏(16・77%)、長嶺安政氏(15・82%)、岡村和美氏(15・34%)と続く。この4人は今年6月、夫婦別姓を認めない法の規定が違憲かどうかが争われた裁判の大法廷決定で、「合憲」とする判断を下した。沖縄関連の判決にも関わった経緯がある。

 就任から日が浅い4氏(岡正晶、堺徹、渡辺恵理子、安浪亮介)の不信任率は13%台と、11人の中では低い水準だった。

 沖縄の投票率は全国比で低く、×以外を記入する無効票の割合も高い。

 一方、有効票に占める裁判官ごとの不信任率に差があることから沖縄関連訴訟への関与を含め、公報や報道などを参考に主体的に判断していると言えそうだ。

 市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」は、6月の最高裁決定で「合憲」と判断した裁判官に国民審査で×印を付けるよう、SNSなどで呼び掛けてきた。メンバーの砂川智江さん(44)=沖縄市=は、呼び掛けが有権者の投票行動に一定程度つながった可能性に触れ「多様性を希求する人の思いが浮き彫りになったのではないか。互いの姓を尊重し合うカップルも法律婚ができるよう、さまざまな手段で訴えていきたい」と述べた。

 国民審査の県内投票率は52・10%で、前回17年(50・16%)から微増した。

 (當山幸都、前森智香子)