「家賃が払えない」那覇市の困窮相談8000件 20年度は前年比の8倍に コロナ影響で収入減


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 那覇市に居住する生活困窮者を支援する市就職・生活支援パーソナルサポートセンターへの相談件数が、20年度は19年度の8倍となる約8千件に上ったことが4日までに分かった。21年4~10月も既に約5千件が寄せられており、20年度を上回るペースだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減少し、経済・生活苦に陥る世帯が増加している状況が浮き彫りになった。センターの永吉哲三統括責任者は「これまでなんとか食べていた人が、コロナの打撃で仕事が激減し、食べるところから困っているケースが増えている」と懸念を示している。

 10月下旬、那覇市泉崎のグッジョブセンターおきなわ内の同センターには、ひっきりなしに相談者が訪れていた。受付時間は午前9時から昼休みを挟んで午後4時までだが、相談者が途切れることはなく、昼休みも窓口を閉じることができないほどだという。

 センターは生活や就職の問題を抱える人の相談を受け、公的な支援につないでいる。対面や電話による相談は1日約40件。永吉さんによると、新型コロナの影響で収入が減ったという自営業や非正規の従業員からの相談が多く、業態は飲食や観光関係が主だという。アルバイトがなくなったという外国人からの相談もある。

 これまでセンターの相談件数は年間千件程度。中高年の相談が多かったが、コロナ以降は20代や30代の相談者が増えた。母子や父子世帯のほか、子どもの両親がおらず、祖父母が面倒を見ている高齢世帯から「仕事がない」といった相談も寄せられるという。

 昨年度、圧倒的に多かったのが「家賃が払えない」という相談だ。同センターは、厚生労働省が自治体が決めた上限額を支給する「住居確保給付金」の申請を受け付ける。申請は年間20件程度だったが、20年度は約1400件にも上った。
 (中村万里子)