辺野古「軟弱地盤改良は不可能」 知事の不承認に一歩前進と評価 平和市民連絡会・北上田毅さん


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埋め立て設計変更申請を不承認とした玉城デニー知事の記者会見を確認する北上田毅さん=25日午後、名護市

 「待ちくたびれた」。沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは、玉城デニー知事が埋め立て設計変更申請を不承認としたことを受け、少し安堵(あんど)した様子だった。同申請は軟弱地盤の改良工事のため、沖縄防衛局が20年4月に提出していた。

 「マヨネーズ並み」とも言われる大浦湾の軟弱地盤の存在は、土木技師でもある北上田さんらが情報公開請求で防衛局から入手した地質調査の報告書で明らかになった。同報告書では地盤強度を示す「N値」がゼロを示す地点が複数確認された。「さすがに驚いた。当初から設計がずさんだった」と当時の思いを振り返る。

 北上田さんは「新基地建設はとんでもない時間と費用がかかる」と強調する。軟弱地盤は最深で海水面から約90メートルに達している。国内の地盤改良船が工事できるのは水深70メートルが限度などと指摘し「軟弱地盤改良は不可能だ」と述べた。

 政府は新基地建設を正当化するため「普天間の危険性除去」を繰り返し説明してきた。北上田さんは「政府が辺野古にこだわるほど、普天間の危険性が固定化する」と語気を強めた。

 今回の県の「不承認」の判断は「一歩前進」と評価する一方で、計画変更に関する工事だけでなく、すべての工事を止めるべきだと主張する。北上田さんは、25日も土砂搬出作業のため本部町の本部港塩川地区に設置されたベルトコンベヤーを巡り、北部土木事務所と交渉した。「県は設置許可を出すべきではない」と訴えた。県の本気度も問われている。