沖縄でオミクロン株じわり拡大…特徴は「感染力の強さ」 第6波の懸念強まる


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
オミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所)

 新型コロナウイルスのオミクロン株が県内でじわりと増えている。17日の初確認から1週間を待たず23日で10人に達した。現時点で市中感染は確認されていない。一方で沖縄に移動してきた米軍人は事前のPCR検査を受けておらず、ワクチンを2回接種していれば入国直後から基地内移動が自由だったことも明らかになり、感染経路の把握を難しくしている。北部ではデルタ株の広がりも確認され、感染「第6波」の懸念も強まる。

 オミクロン株初確認の翌日18日から、県は沖縄市の県総合運動公園に設置した接触者PCRセンターの能力を拡充して、米軍キャンプ・ハンセン従業員を対象とした無料検査を実施。22日からは金武町で飲食店従業員らを対象とした検査を始めるなど、封じ込めに傾注している。

 背景にはオミクロン株の感染力の強さがある。米疾病対策センター(CDC)は、12~18日の米国内感染者に占めるオミクロン株の割合が73・2%に上る推計をまとめた。前週の12・6%から5・8倍に増えた。

 英国の調査によると、ワクチンの発症予防効果はデルタ株の7割に対し、オミクロン株では2割と低い可能性が指摘された。追加接種を行えば、オミクロン株でも8割程度まで改善する可能性が示された。県内の多くの自治体では高齢者向けの3回目接種の準備が進む。

 玉城デニー知事は17日の臨時会見で「高齢者などの体力の弱っている方が感染すると重症化する可能性は十分ある」と懸念した。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は23日の会見で、オミクロン株のスポット的な感染が始まっている地域の一つに沖縄を挙げた。オミクロン株は、一定期間の累積患者が倍増するのにかかる時間(倍加時間)が2~3日と極めて短く「市中感染が始まると、急速に感染拡大する可能性がある。短期間で多数の患者発生が予想され、(第6波に備えて)強化されてきた医療提供体制ですらひっ迫する可能性がある」と強い危機感を示した。少しでも具合が悪ければ積極的に検査を受けることや、帰省や旅行を慎重に検討することなどを求めた。 (知念征尚)


【関連ニュース】

▼一時は「世界最悪」レベルに…沖縄コロナこの1年

▼米軍、本国からの出国時に検査せず オミクロン株、シュワブでも

【写真】ノーマスク米兵が街へ 知事要請後も「問題ない」

▼オミクロン株、感染拡大防ぐには?医師に聞く 

▼【深掘り】米軍が「抜け穴」オミクロン株 経路解明にも及び腰

▼「成田で陽性、沖縄入り」なぜ米兵すりぬけた