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早期のマネジメント経験が鍵 サンエーが進める仕事と育児の両立支援<企業の「女性力」>4


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商品の温度を確認する貞包玲奈さん=サンエー浦添西海岸パルコシティ

 県内小売最大手のサンエー(宜野湾市、上地哲誠社長)は2021年、管理職に占める女性の割合が過去最高の23%に達した。食品館や外食店舗の衛生状況を確認する品質管理室の貞包(さだかね)玲奈さん(40)も管理職の一人。育児に励みながら、チームの業務効率化に日々取り組んでいる。

 2006年に入社し、4年目で菓子のバイヤーに就任した。サンエー全店で扱う菓子の仕入れを担う重要なポジションだ。同社にはやる気のある人材を積極登用する制度があり、貞包さんもキャリアの早い段階で管理職に就いた。

一時的に副店長級

 約6年間、バイヤーを務めた後、産休・育休を取得し、17年に時短勤務で復職した。復職時には、管理職である「経営職A」からチーフクラス(副店長級)である「経営職B」を選択。店舗の一従業員として食品部門で働いた。

 これはサンエーのユニークな制度の一つで、経営職Aの人が育休取得後に時短勤務で復職した場合、経営職Bになる。ただ、フルタイム勤務に戻れば、経営職Aに自動的に戻ることができる仕組みになっている。

 管理職から一時的にチーフクラスとなり、売り場で働くという経験をした貞包さん。「本社の仕事は現場が結果を出せる仕組みを作ること。一度その経験をしているので、現場で問題が起きた時にどう改善すればいいか、本社に提案することができた」と話す。

 この制度の狙いについて、人財育成室の玉城むつ子室長は「育児中に無理をさせると辞めてしまう。マネジメント経験がある人は、チームの回し方を知っている。管理職でなくても新人を育てたり、他をサポートしたり非常にいい仕事をする」と説明する。

マネジメント

 貞包さんは復職から1年後の18年からはフルタイム勤務になり、再び管理職として働いている。現在の部署は7人中3人が時短勤務。残りの4人が残業など負担なくいい仕事をするために、業務改善を続ける。

 全ての業務を時間に換算し、徹底して効率化する。最も時間が掛かっていた抜き打ち調査の報告書作成は、現場でスマホから入力できるようにした。仕事を属人化させないため、マニュアル化や書式の簡略化に取り組んだ。今はほぼ全員が残業なしで終業できている。

 玉城室長は「育児と仕事を両立させるには、一人で抱え込まずに家族や周囲に協力をお願いしたり、段取りを整えたりする必要がある。それはマネジメントそのもの。仕事でのマネジメント経験が育児と仕事の両立にも役立つ」と強調した。
 (玉城江梨子)


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