オリオンビール、早期退職を労組に提案 株式上場へ経営立て直し図る


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オリオンビールの名護工場

 オリオンビール(豊見城市、村野一社長)が、30歳以上の従業員を対象とした早期退職制度の導入を提案していることが25日、判明した。早期退職者に割り増し退職金を支払い、希望者には再就職支援をするなどの内容の「セカンドキャリアサポートプログラム」の導入を、19日付で労働組合に提案した。

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 同社は本紙の取材に対し「現在、決まっていることは何もない」とコメントしている。

 

 オリオン社は組合側に示した文書で、グローバル化、少子高齢化などの進展で事業環境が急速に変化していると指摘。同社より優れたコスト構造を持つ企業との競争に直面しているとして「今後の成長戦略と会社を取り巻く経営・競争環境を踏まえ、企業としての長期的な競争力の向上を推進する必要がある」と説明している。

 県民のビール離れや県外大手メーカーとの競争に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で同社の収益を支えてきた飲食店向けの販売が落ち込み、2021年3月期決算は減収減益となった。同社は24年中をめどに株式上場を計画しており、今回の提案は経営体力の立て直しを図る目的があるとみられる。

 対象は正社員のほか、嘱託従業員と無期契約従業員。早期退職者には割り増し退職金を支払う。今後、労使合意を得た上で、全社説明会や個別面談を実施し、早期退職する従業員を募る。退職は原則として4月30日付。

 オリオンビールは19年、野村キャピタル・パートナーズと米投資会社カーライルグループの株式公開買い付けを受け入れ、両社が設立したオーシャン・ホールディングスの完全子会社となった。
 (沖田有吾)


 

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