1996年、県経営者協会に女性リーダー部会が発足した。会員企業の女子中堅社員を対象としたキャリアアップに向けた研修などを行っている。当初は部会員に管理職はほとんどいなかったものの、設立から25年経過し、多くの会員が所属企業で役職が就き、それぞれ重要な役割を担っている。女性が結婚や出産をしても働き続け、家庭と両立して管理職登用を諦めずに済む環境づくりについて、部会長の富原加奈子氏(前りゅうせき商事社長)に話を聞いた。
女性が働く意義は。
「みんなが幸せになるということだ。お互いを理解し助け合える社会になるために、女性の社会進出は意義がある」
「女性のために組織が特別な配慮をしても、周りにしわ寄せがいってしまっては意味がない。根本的なところからの働き方改革が必要だ。誰かが我慢するのではなく、ゆとりのある生活に変えていかないといけない」
沖縄の女性管理職は1割にとどまっている。
「残業したり休日勤務したりする人を評価する価値観がいまだに残っている。だからこそ効率よく仕事して定時に帰宅する女性は評価されず、仕事も任されていない。管理職の登用を断る女性は意識が低いのではなく、逆に家庭を壊してはいけないという意識が高い。女性活躍のための意識改革は男性こそ必要だ」
「今では男性も育児休業を取るようになったが、仕事の忙しさなどを理由に期間が短い。育児休業も重要だが、生産性を向上させ、みんなが日々早く帰れるような働き方改革を進めるべきだ」
「評価制度も変えなければならない。昭和の人事制度が見直されないままの企業がいまだに多い。仕事の属人化も問題だ。特定の人しかできないとなると、休むこともままならない。みんなで担当を交代して仕事をすることで、何かあった場合でも助け合える」
女性がキャリアを継続するには。
「男性の働き方をまねする必要はない。会社から任されたミッションを、自身の個性で達成していけばいい」
「女性社員の育児休業を3年にしても、出社後残業が多かったり夜間保育を増やしたりするのが本末転倒だ。時短勤務や在宅勤務などを導入し、ライフステージに合わせた環境づくりが重要だ」
「企業の中でもコミュニケーションが足りない。女性が何を望んでいるのか、夜の飲み会ではなく昼のコミュニケーションが求められる」
「管理職経験者は徐々に増えてきたが、企業変化のスピードはまだ遅い。変化を加速させみんなが幸せになるために、役員など意思決定層に女性を加えることが急がれる」
(聞き手・呉俐君)
(おわり)
女性が結婚や出産などを機に、仕事の継続やキャリアアップを諦めざるを得ない状況が続いており、連載では女性が直面する課題を取り上げます。連載へのご意見やご感想、体験談などのメールは、QRコードを読み取るか、ファクス098(867)5607まで。