漂着軽石を使ったピザ釜が完成!「地球に優しい天然の断熱材」職人が着目 南城市


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ピザ窯完成を喜ぶ(右から)工藤修二さん、島袋悠乃さん、勝連盛輝さん、慶子さん=20日午前8時ごろ、南城市大里古堅

 【南城・与那原】沖縄県南城市大里古堅で20日、県内各地の沿岸に漂着した軽石を利用したドーム型のピザ窯が完成した。軽石は断熱効果があるとして、砕いた軽石を消石灰と混ぜ、ピザ窯の外側を覆った。

 ピザ窯を手掛けたのは、神奈川県在住の工藤修二さん(46)。工藤さんは全国各地で、地元の土などを利用したかまど「アースオーブン」を制作している。県内でも5カ所のアースオーブンを手掛けた。古堅在住で、むぎの子共同保育園の理事長、勝連盛輝さん(72)、妻・慶子さん(70)の自宅近くにも工藤さんの制作したアースオーブンがある。今回は、勝連さんのめい、島袋悠乃さん(34)の実家の庭でピザ窯を制作した。与那原の瓦工場から集めた廃瓦や軽石などを利用して造った。

 工藤さんはテレビや新聞などで、県内に次々と漂着する軽石を見て「断熱剤として利用できる」と思い付いた。「かまどに火を入れると、中の温度は450度にもなる。かまどの外側を漂着した天然の軽石で覆えば、熱が(内側に込もり)外に伝わりにくくなる」

ピザ窯の外側を軽石で覆う作業をする工藤修二さん(左端)と清水陽渚太さん(右端)、和奏さん(右から2人目)=12日、南城市大里古堅

 12日には、与那原町から訪れた清水菜美さん(43)と息子の陽渚太(ひなた)さん(11)、娘の和奏(わかな)さん(6)親子もピザ窯作りに参加した。ピザ窯に利用するのは清水さんの自宅近くの海岸に漂着した軽石と与那原の瓦工場から集めた廃瓦。陽渚太さんは「軽石を詰めたり、消石灰と一緒に混ぜたり、とても面白い」と楽しそうに作業に取り組んだ。

 20日早朝、工藤さんと勝連さんは前日から夜通しで最後の仕上げに取り掛かり、直径約1.5メートルのピザ窯を完成させた。島袋さんの実家は、ゲストハウスも運営している。島袋さんは「宿泊する方はもちろん、地域の子どもやお年寄り、親子連れの方たちと一緒に、地元産の作物などを使ったピザ作り体験を実施したい」と笑顔で語った。工藤さんは「軽石は地球環境に優しい天然の断熱剤。研究を重ねて、道路や建築物などに使用することを考えてもいい」と話した。
 (金城実倫)