沖縄は「優遇」されているのか?実は国からの予算より納税額が多かった


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 沖縄県内の国税徴収額(徴収決定済額)と国からの沖縄関係予算(当初)の比較で、2015年度から20年度まで6年連続で国税徴収額が上回ったことが琉球新報のまとめで分かった。近年は沖縄関係予算の減少と、県内経済の好調を背景とした税収増が重なり「支払い超過」状態が続いている。

沖縄関係予算は各省庁にまたがる予算を内閣府がまとめて予算付けする一括計上制度など、他府県にない特徴から「米軍基地設置の見返りに予算措置で優遇されている」と誤解を生んでいる。実際は県民が国に収めた税額が、国が県に支払う予算額より多い状態が続いていることになる。

本紙が国税徴収額と沖縄振興予算を比較したのは、沖縄が日本に復帰した1972年度から、双方の統計を入手できた2020年度までの48年分。復帰以降の20年近くは沖縄関係予算が国税徴収額を上回っていたが、90年度に初めて逆転し、91、92年度が「支払い超過」となった。

2000年以降は、05年度から11年度までの7年間と、15年度から20年度までの6年間で上回っている。19年度は振興予算を国税徴収額が約1164億円上回り、「支払い超過」額が日本復帰以降で最大となった。

比較した48年間のうち、国税徴収額が沖縄関係予算を上回ったのは計16年度だった。

沖縄関係予算を巡って、県政の基地問題へのスタンスに応じて振興費の額が連動する「リンク論」も取りざたされるが、県・国の双方は否定する。だが、新基地建設反対を訴えた翁長雄志氏が知事に就任した翌年の15年度以降「支払い超過」の額は拡大傾向にある。

新型コロナウイルス感染拡大が県内の経済活動に影響を与えた20年度は「支払い超過額」は縮小したが、国税徴収額が沖縄関係予算を上回った。

比較した48年間の沖縄関係予算は累計で約12兆3252億円で、国税徴収額は約11兆5079億円だった。48年間の差し引きは沖縄関係予算が約8173億円上回った。

国税徴収額は復帰当時の72年度は約199億円だったが、復帰後最大となった2019年度は約4174億円と初めて4千億円を超えた。

沖縄関係予算は72年度が約760億円で、2014年に過去最大の約3501億円を計上した。だが、15年以降は減少傾向で、22年度の当初予算は10年ぶりに3千億円を割って約2683億円となった。

 (塚崎昇平)
 

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