OIST、スタートアップ支援の拠点構想 4000人の雇用創出も 


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インタビューに答えるピーター・グルース学長=4月28日、恩納村のOIST

 創立10年を経た沖縄科学技術大学院大学(恩納村、OIST)のピーター・グルース学長がこのほど、琉球新報のインタビューに応じ、研究で生まれた知的財産をスタートアップ(起業)に生かす「イノベーション・ハブ」構想の概要を明らかにした。構想で研究棟や住居、創業初期の起業家を支援する「インキュベーション施設」などが集積するノースキャンパスの整備計画を示した。構想が実現すると、3千~4千人の雇用を生み、全国一低い沖縄の1人当たり県民所得を是正できると強調した。

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 ノースキャンパスは現キャンパスの北寄りに位置する恩納村有地に整備予定で、総事業費は独自調達で少なくとも2千億~3千億円を見込む。整備は段階的に行い、完成まで20年以上掛かるとした。

 OISTの現在の教員数は約90人。OISTがおきぎん経済研究所に依頼して作成した調査報告によると、教員が100人体制になると、県内経済への生産誘発額は491億6600万円、雇用誘発者数は4568人に上る。ノースキャンパス実現で同程度の波及効果があるとみられる。

 グルース学長は「新たな産業は知的センターの周辺で生まれる。新技術から起業され、産業となり雇用創出につながる。実現すれば沖縄経済の『ゲームチェンジャー』(変革)になる」と強調した。 (梅田正覚)