降水量が平年の3倍を超えるなど梅雨が「本領」を発揮する中、沖縄県内の飲食店がデリバリーに力を入れている。雨が降れば客足が遠のくのが飲食店の常だったが、雨の日も繁盛する店が増えている。梅雨前と比べデリバリーの売り上げが50%増となった店もある。手軽な宅配サービスの登場もあり、商戦が熱を帯びている。
「雨の日はデリバリーで忙しくなる」。アイスクリームで有名なフォーモストブルーシール新都心あっぷるタウン店の中川慎一マネージャーは、うれしい悲鳴をあげる。多い時は1日10件の注文が入ることもある。一度に5、6個注文する人もいるという。
デリバリーで圧倒的に人気なのはクレープ。午前中はソーセージやチキンなどが入ったおかず系の注文が多い。基本的には気温の高い日の方が売り上げがいいが、デリバリーは気温の低い雨の日でも多くの注文が入るという。
梅雨入り後のブルーシール全体のデリバリー売り上げは、梅雨前と比べて40%増えた。新都心あっぷるタウン店、豊崎店、パレットくもじ店は50%増だ。デリバリーが店を支えている。
沖縄そばの有名店「我部祖河食堂」は、新型コロナウイルス感染拡大による売り上げ減を受け、2年前からデリバリーを始めた。
同食堂を運営する「まあさんど」(沖縄市)の田畑智次総務部長によると、那覇市の前島58号店と那覇市牧志のげんじや~店のデリバリーの売り上げは梅雨入り前と比べて約40%増えた。「雨が降ると客足が遠のいてしまうが、デリバリーの売り上げが減った分をカバーしてくれる」と話した。
前島58号店によると、平日は夜、休日は昼の注文が多い。一番人気はソーキそばセットで、三枚肉そばセットもよく出ている。丼ぶりものでは沖縄ちゃんぽんも人気だ。店長は「『雨でお店に行くのはちょっと』という人にもぜひ食べてほしい」と語った。(金盛文香、狩俣悠喜、稲福政俊)
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