【深掘り】玉城沖縄知事、火消しに躍起 不適切発言に抗議や批判 自民は手ぐすね…


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 玉城デニー知事が25日に、基地問題に関する有識者会議で「(ウクライナ大統領の)ゼレンスキーです」とあいさつしたことへの波紋が広がっている。玉城知事は27日の定例会見でも陳謝するなど火消しに追われるが、SNS上だけでなく、県にも多くの批判が寄せられる。与党県議からも「許されない発言だ」「軽率だ」と厳しい声が飛び、参院選や知事選への影響を懸念する声が漏れる。県議会は30日の各派代表者会議で知事発言を取り上げる運びとなり、県政奪還を目指す自民は「敵失」に手ぐすねを引く。

定例会見で記者の質問に答える玉城デニー知事=27日、県庁(喜瀬守昭撮影)

 県によると27日までに約80件の抗議や意見が電話で寄せられており、批判の声は続いている。

 27日に県庁内であった玉城知事と与党各会派幹部との意見交換会でも、出席した県議全員から手厳しい意見が上がり、「厳重注意」(出席者)したという。

 ある与党県議は「ウクライナ侵攻で高まっている軍事強化の動きに知事は懸念を示してきた。その『本気度』も問われる」と指摘。「これまでもたびたび批判を招く発言や発信をしてきた。もっと緊張感を持ってほしい」と苦言を呈した。

 知事選の前哨戦となる参院選も迫り、知事選の構図も近く固まる見通しの中、選挙への懸念材料とみる向きもある。

 玉城知事を支える「オール沖縄」勢力の幹部は「タレント性を発揮してリップサービスもよくするが、それが裏目に出てしまった」と声を落とす。「知事選に向けて一丸となる中で、こういうことがあると士気にも影響する」と語った。

 一方、県政野党の自民などは追及の機会と捉え、攻勢を強める構えだ。自民側の要請を受けるなどして、赤嶺昇議長は失言についての対応を協議するため、各派代表者会議を30日に開くことを決めた。

 ある自民県議は「立場ある人間が発する言葉ではない。知事選も近い。6月定例会では厳しく追及されるだろう」と語気を強めた。

(大嶺雅俊、塚崎昇平)