「夜の居場所」提言へ ひとり親家庭支援も 子の貧困対策 来年3月、計画決定


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤

 県の「子どもの貧困対策推進計画(仮称)」の策定に向けて、外部有識者らでつくる「県子どもの貧困対策に関する検討会」(会長・山入端津由沖縄国際大学教授)が16日、県庁で開かれ、計画に盛り込むべき施策案をまとめた。全国に比べて多いひとり親家庭への自立支援や、深夜徘徊(はいかい)を防ぐために児童館や学童保育所など子どもの夜の居場所づくり、給付型奨学金制度の拡充、家庭の問題をすくい上げるスクールソーシャルワーカーの配置の充実などが盛り込まれた。11月に知事に提言書として手渡す。

 検討会はこれまでに4回会議を実施し、各委員が県内の状況や課題、必要な支援を提言してきた。施策案には、これらの意見が取り入れられた。今後、知事を議長とする「県子どもの貧困対策推進会議」が、施策案を反映する形で計画素案を策定する。県は年内にも計画素案のパブリックコメントを実施し、来年3月に計画を決定する。
 施策案では、貧困問題を自己責任論ではなく、社会全体の問題として取り組む必要性を指摘し「今後は貧困対策の先進県に持っていく必要がある」としている。そのために、行政と民間が協働し、予算面の充実も必要であるとしている。支援につながらない家庭に積極的に働き掛ける個別対応の必要性も挙げている。
 教育支援として就学援助制度の申請期間の延長などを求めている。貧困状態の子どもたちは自己肯定感が低いことから「学力の保障とともに、自己肯定感を高める支援も必要だ」と指摘。多忙な教員の負担軽減を求めている。学習支援やスクールソーシャルワーカーなど、支援する側について、ボランティアに頼るのではなく報酬を与えることや待遇改善などの措置も検討するよう求めている。
 生活面では、小学校区ごとの児童館設置や児童養護施設の退所児童の自立支援、乳幼児健康診査の未受診家庭への切れ目のない支援を求めた。
 同検討会は、児童養護施設の代表、生活困窮世帯やひとり親世帯、子どもの居場所づくりなどに取り組む支援者、児童養護施設の出身者、小児科医ら12人で構成されている。