「酒税軽減」撤廃で泡盛消費8.9%減 17年度推計、売上高は12億円減


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 泡盛製造業等振興策検討委員会(委員長・下地芳郎琉球大教授)の第2回会合が16日、那覇市内で開かれ、2017年5月に期限切れを迎える酒税軽減措置の影響分析結果が示された。泡盛への酒税課税を35%軽減している特別措置が撤廃されると、販売価格の上昇に伴って年間の消費量は8.9%下落すると推計。17年度は出荷数量で1601キロリットル減、売上高で12億2100万円減の影響になると試算した。

 影響分析はりゅうぎん総合研究所と九州経済調査協会が実施した。
 10年連続で出荷量が減少している泡盛消費について、今後も同様のペースで下落が続くという前提で、軽減措置撤廃が加わることに伴う、さらなる減少量を推計した。
 分析では、これまでに焼酎やビール、日本酒で税率改定に伴う価格変動があった際に、消費量がどのように変化したのかを全国の事例で整理。焼酎では小売価格に占める酒税負担率が1%上昇すると、消費数量は0・8%落ち込むという関連が見られ、この変化率を今回の泡盛の影響予測に適用した。
 分析結果について委員からは「酒税軽減の恩恵を受けるのは消費者だ。特別措置がなくなり泡盛の価格が上がれば、焼酎やほかのお酒でも構わないと消費の傾向が本土並みに変わっていく可能性がある」(出口尚南島酒販社長)など泡盛離れに拍車が掛かることを危惧する声が上がった。
 県が主催する検討委員会は、出荷減少に歯止めがかからない泡盛の消費回復策を打ち出すため、有識者や業界関係者を集めて販売戦略の再構築などを議論している。
 酒税軽減措置の延長の是非についても検証し、次回以降の会合で、泡盛酒造所やビール会社の経営分析を踏まえて、軽減措置撤廃に伴う雇用や離島地域への影響度など県内経済に及ぼす分析結果を提示する。