県議会、中国に抗議決議 ミサイル着弾 日本政府に意見書も


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中国の軍事演習に対する抗議決議を審議する県議会=9日、県議会

 県議会(赤嶺昇議長)は9日の臨時会で、波照間島近海の排他的経済水域(EEZ)に中国軍のミサイル5発が着弾した事態に対する抗議決議を全会一致で可決した。決議は「沖縄近海における軍事演習は一切実施しないよう強く要求する」などと明記し「軍事対軍事ではなく、あくまでも平和的な話し合い、外交交渉で解決するよう強く要求する」と中国側に申し入れる内容。宛先は中国国家主席と駐日大使の2人。

 併せて、沖縄近海で軍事演習を実施しないように中国に要請することを日本政府に求める意見書案も提案され、全会一致で可決した。意見書は「中国、米国に対して、軍事衝突を回避するための冷静かつ平和的な交渉で解決を図ることを要請する」と、軍事衝突を回避するための冷静な交渉も求めた。意見書の宛先は首相や外相ら。抗議決議、意見書とも郵送で送付する。

 (梅田正覚)

決議要旨

 去る8月4日、中国の人民解放軍は台湾周辺で重要軍事演習行動を実施し、弾道ミサイル11発を発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)内に同軍の弾道ミサイルが落下したのは初めてで、そのうち5発がEEZ内に落下した。また、日本領土に最も近かったのはEEZ外ではあるが与那国島の北北西約80キロメートルに落下した。さらに、当該軍事演習海域から波照間島まではわずか60キロメートルしか離れていないと見られ、県民をはじめ国民に大きな衝撃を与えると同時に漁業従事者が漁の自粛を余儀なくされ、経済活動にも大きな影響を及ぼしている。

 中国国防部は、米国下院議長の台湾訪問に対抗した軍事演習であり、米国と台湾の結託に対する威嚇である旨の談話を発表したが、このような行動は偶発的な軍事衝突を発生させるおそれもあることから、国際社会の緊張の高まりを招くことになると県民に大きな不安を与えている。

 よって、本県議会は、県民の不安除去や生命・財産と生活環境を守る立場から中国政府に対し、沖縄近海における軍事演習は一切実施しないよう強く要求するとともに、軍事対軍事ではなく、あくまでも平和的な話し合い、外交交渉で解決するよう強く要求する。

意見書

 去る8月4日、中国の人民解放軍は台湾周辺で重要軍事演習行動を実施し、弾道ミサイル11発を発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)内に同軍の弾道ミサイルが落下したのは初めてで、そのうち5発がEEZ内に落下した。また、EEZ外ではあるが与那国島の北北西約80キロメートルに落下した。県民をはじめ国民に大きな衝撃を与えた。

 中国国防部は、米国下院議長の台湾訪問に対抗した軍事演習であり、米国と台湾の結託に対する威嚇である旨の談話を発表した。このような行動は偶発的な軍事衝突を発生させるおそれもある。 よって、本県議会は、中国による弾道ミサイル発射に厳重に抗議するとともに、米国に対しても軍事的な緊張を高めるような行動を自制し、政府として適切な措置を講じるよう強く要請する。

 1 沖縄近海における軍事演習を一切実施しないよう中国政府に要請すること。

 2 中国および米国に対して、軍事衝突を回避するため、冷静かつ平和的な交渉で解決を図ることを要請すること。