「団体ツアー限定」が集客ネック 那覇空港の国際線、15日から再び運休 遠い本格再開  


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2年4カ月ぶりに国際線が就航したものの、稼働停止状態が続く那覇空港国際線=7日、那覇空港

 今月2日、韓国の格安航空会社(LCC)のティーウェイ航空の旅客便が那覇空港に到着し、新型コロナウイルス感染症の流行で2020年3月から全便運休していた国際線が2年4カ月ぶりに再開した。ティーウェイ航空は週3往復でソウル―那覇路線を運航しているが、14日の便をもって再び運休に入ることが決まっている。観光を目的とした日本への入国は添乗員付きのパッケージツアーのみとなっていることが集客のネックとなり、那覇空港国際線の本格的な利用にはまだ時間を要する見通しだ。

 コロナ前は那覇空港国際線に航空20社ほどが就航しており、就航する社で保安検査費用を分担する「案分制」をとっていた。しかし、いったん各社が那覇空港から撤退した状況となる中で、今後、最初に就航を再開する航空会社に負担がかかりすぎることになる。

 空港ターミナルビルを運営する那覇空港ビルディング(NABCO)によると、国際線を就航する航空各社から制度見直しの要望があり、航空会社が就航した分だけ費用を払う「単価制」への変更を認めた。

 NABCOの担当者は「単価制への変更で現在は当社の負担額が増えているが、制度変更が国際線の再開のきっかけになれば良い」と、海外航空会社の再就航の呼び水となることを期待する。

 ティーウェイ航空の仁川空港からの初便が到着した2日、2年4カ月ぶりに那覇空港で旅客の入国手続きが行われた。海外からの入国者向けに厚生労働省が提供する健康居所確認アプリ「ファストトラック」の登録を済ませた人が多かったため、乗客約50人の検疫業務を1時間程度で終えることができた。

 那覇検疫所は新型コロナの拡大で那覇空港国際線が閉鎖された20年以降、国際線を受け入れている羽田空港などに職員を派遣していた。今年5月に岸田文雄首相が那覇空港国際線の発着再開方針を明らかにしたことで、人員を呼び戻した。

 15日から再び全便運休の状況となるが、那覇検疫所の担当者は「外国人客がいない期間も、輸入食品の検査や他空港に向かう飛行機の緊急着陸に向けた準備などの業務がある。引き続き他の国際線の就航にも備えたい」と話した。

団体客のみ「難しい」

 観光関係者からは本格的な国際線の再開に向け、海外からの個人観光客の受け入れ再開を望む声が相次いでいる。

 那覇空港と同時に国際線の再開方針が発表された北海道の新千歳空港では、7月17日に国際線再開の初便が韓国から就航している。現在も韓国からいくつかの便が運航しているものの、以前の客数には遠く及ばない。

 旅行代理店国内大手の北海道支店担当者は「団体客のみでは集客が難しい」ともらす。

 韓国大手旅行社のハナツアーで添乗員を務めるキム・キョンミンさんは「日本に友人や恋人がいて、個人旅行では会いに行けないために団体ツアーに参加する人が大半だ」と話し、現状では韓国からのツアー参加者は限定的だと指摘する。

 ノボテル沖縄那覇の坂本公敏総支配人は「外国人客は富裕層が多いと言われているが、富裕層は個人旅行しかしない」と指摘し、個人旅行の受け入れが解禁されるまでインバウンド(訪日外国人客)需要の回復は難しいとの見方を示した。

 (與那覇智早)