宜野湾市長選の立候補予定者に聞く 出馬の理由、どうする普天間飛行場問題、コロナ禍の暮らし 投開票まで1カ月


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【左から】松川 正則氏、仲西 春雅氏

 【宜野湾】9月11日投開票の宜野湾市長選まで、残り1カ月となった。現職の松川正則氏(68)と「9・29県民大会の会」会長の仲西春雅氏(61)=立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=が立候補を表明し、一騎打ちとなる公算が大きい。両氏に出馬の決意や重点政策を聞いた。


<松川正則氏>市民の暮らし向上

 ―出馬を決めた理由は

 「現職で4年間やってきた。現在進行形の事業も含め、公約の約75%を手掛けている。教育環境の整備や防衛施設周辺整備統合事業などにも取り組んできた。今後は政府との交渉で普天間飛行場返還の道筋をつくりたい。政府、米国と交渉し、返還期日のめども示したい。既に取り組んでいるが、西普天間住宅地区の返還跡地の開発などもさらに具体的に進めたいという思いがある」

 ―米軍普天間飛行場問題についての考え方は。

 「辺野古の工事が毎日進む中で、移設は容認せざるを得ない。政府が12年はかかると言うが、短縮できるのではないかと考えている。形状は違うが那覇空港の第二滑走路と同じ位の面積で、あちらは7年半で埋まっている。知事は移設反対しか言わないが、止める手だてが反対だけでは駄目だ。返還合意から26年経っている。子どもたちが置かれている環境など宜野湾市民の状況を理解していないのではないか。意見交換の場で、反対だけではなく、もう少し柔軟に考え、互いに譲歩していかないと政治は進まないと伝えている」

 ―選挙の争点は。

 「コロナ禍で疲弊している経済の立て直しが求められている。厳しい状況だが、企業が懸命に頑張っているので、活性化できるよう事業支援もしたい。経済の底上げは、雇用確保を生み、貧困問題の解決などにもつながる。市民の暮らしを向上させたいというのが一番だ。政策にも取り入れたい」

 ―重点政策・公約は。

 「市民の暮らしの向上が何よりも大切だ。普天間飛行場周辺のまちづくり事業を進める。2025年は琉球大学医学部・琉球大学病院が開学・開院する。連携して市民の健康意識の向上にも取り組む。デジタル化を取り入れた教育環境の整備も考えている。具体的には後日、政策発表する」

 ―大切にしている言葉、自身の信条は。

 「『僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる』という言葉だ。新しいことにチャレンジする姿勢を見せたい。また相手を敬うことも大切にしている。互いに尊敬の気持ちがないと対立しか生まれない」

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 松川 正則氏(まつがわ・まさのり)1953年9月生まれ、宜野湾市野嵩出身。琉球大短期大学部卒。市職員を経て、2018年9月の市長選で初当選。

 


<仲西春雅氏>市民協働のまちに

 ―出馬を決めた理由は。

 「県高校PTA連合会会長として子どもたちの安全安心な育ちを見守ってきたことが原点にある。米軍機からの部品落下事故や学校上空での低空飛行問題、米軍普天間飛行場からは有機フッ素化合物(PFAS)が流出するなど山積する宜野湾市の課題に対し、現市政は応えていない。市民のニーズや意思を尊重せず、国の言いなりでは市民の命や暮らしを守ることはできない。市民と協働したまちづくりをするために出馬を決意した」

 ―米軍普天間飛行場問題についての考え方は。

 「『世界一危険な基地』と呼ばれ、10万人の宜野湾市民が暮らす街の真ん中を占めている。学校上空の低空飛行や部品落下があるように、子どもたちや市民の安全を脅かしている。日米の全面返還合意からすでに26年が経っている。普天間飛行場跡地利用計画の実施が遅れ、市の庁舎移転計画や予定された返還計画が滞り、市の経済発展も妨げている。過重な基地負担の軽減とともに、一日も早い閉鎖・返還が必要だ」

 ―選挙の争点は。

 「国の言いなりか、市民本位に、市民を主役に考えるのかが問われている。普天間飛行場に関連する米軍機の事故やPFASの問題に加え、コロナ禍で貧困問題も深刻さを増している。市民の要望に背を向け国の求めに最大限応じる現市政を大転換して、市民協働のまちづくりをする」

 ―重点政策・公約は。

 「市政運営の原点は市民の声を施策に反映することだ。コロナ禍での支援事業の延長や物価高騰に対し市独自の支援策を講じる。医療・福祉・子育てナンバーワンを目指し、貧困対策や若年妊産婦の支援に力を入れる。給食費の無料化も実現したい。宜野湾市の優位性と特性を生かした産業・経済の振興も考えている。県政と一体となって、県民が求める普天間飛行場の県内移設によらない解決を図る。具体的には後日発表する」

 ―大切にしている言葉、自身の信条は。

 「まくとぅそーけー、なんくるないさ。日常生活でも仕事の場でも通ずる。何事にも、まっすぐ誠実に向き合っていきたいと思っている」

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 仲西 春雅氏(なかにし・はるまさ)1961年6月生まれ、浦添市出身。宜野湾市志真志在住。興南高卒。元県高校PTA連合会会長。2018年市長選にも立候補した。