沖縄の32軍壕と長野の松代壕、つながる・伝える 住民視点での交流活動が発足 保存・継承へ視察や勉強会


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沖縄戦の継承で住民目線の重要性を指摘する川満彰さんの話を聞く「沖縄―長野市民交流」のメンバーら=9日、首里城公園の首里杜館

 沖縄の第32軍司令部壕と長野の松代大本営壕について、それぞれ学び合い、保存と公開、継承活動について考えようと「戦争の記憶を継承するための沖縄―長野市民交流」が発足した。第1弾として9月2~4日に松代壕を視察し、現地の市民グループとも交流する。9日、那覇市の首里杜館で事前勉強会が開かれ、約20人が参加した。

 交流は、本紙客員編集委員で沖大地域研究所特別研究員の藤原健さんや「第32軍司令部壕の保存・公開を求める会」の有志らが企画した。講師は沖縄国際大非常勤講師の川満彰さんが務める。

 川満さんは地元の戦跡を通じて沖縄戦を学ぶ取り組みの実践を紹介。32軍壕について「住民視点でどう見せるか議論し、継承する活動ができればいいと思う」と語った。

 1992年に32軍壕に関する取材にあたった本紙の小那覇安剛編集委員は「沖縄戦の実相を伝えるために32軍壕の公開は不可欠だ」と強調。戦略持久戦で大勢の住民に犠牲を強いた歴史や、松代壕の構築に動員された朝鮮の人々など被害と加害の両面から二つの壕の継承が必要だと指摘した。

 藤原さんは今回の取り組みについて「継承とは『記憶の学び直し』だ。実践を通じ、次代へ語り継ぐ当事者となる」と説明した。今回の訪問を契機に今後、継続した相互交流を目指す。
 (中村万里子)