ヤンバルクイナ、元気に大きくなってやんばるの森へ 幼鳥の時に事故、けがから回復


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交通事故のけがから回復してやんばるの森へ放鳥されるヤンバルクイナ=7月28日、本島北部

 【国頭】環境省やんばる自然保護官事務所は7月28日、沖縄県国頭村で交通事故に遭い保護されたヤンバルクイナ1羽を、救護地点付近に放鳥した。事務所職員や治療に当たったNPO法人どうぶつたちの病院沖縄の職員などが見守る中、籠から出ると元気にやんばるの森へ戻った。

 ヤンバルクイナは4月29日、夫や子どもたちと南部から遊びに来ていた知念あやのさん家族が、国道58号でうずくまっているのを発見した。知念さんは当初、ヤンバルクイナと分からずに保護したという。元気がなくて全く動かないように感じたという。保護したヤンバルクイナはオスの幼鳥だった。

 放鳥に立ち会った知念さんは「たくさんの人たちが1匹のヤンバルクイナにたくさんの愛情をかけて、大きくなったと思って感動しました」と語った。子どもたちは「ヤンバルクイナが元気に森に戻ってよかった」「ヤンバクイナの足が速くてびっくりした」と話した。

 環境省やんばる自然保護官事務所によると、ヤンバルクイナの交通事故は2022年1月1日から7月26日までに16件発生し、13件で個体が死んだ。ヤンバルクイナ以外の希少種についても、7月時点でケナガネズミ15件、ノグチゲラ1件の交通事故が発生しているという。

 同事務所の吉川紀愛さんは「交通事故に遭った個体は死んでしまうことが多く、野生に復帰することは珍しい。救護して回復した個体を救護者と一緒に戻せるというのは貴重な機会になったと思う」と振り返った。交通事故を起こした場合や事故に遭った希少動物を見つけたら関係機関に連絡するよう呼び掛けた。連絡先は同事務所(電話)0980(50)1025。NPO法人どうぶつたちの病院沖縄(電話)090(6857)8917。

(新城高仁通信員)